ビジネス文書やメールで「しっかり」という表現を何度も使っていませんか?
「しっかり」は便利な言葉ですが、使いすぎると文章が単調になり、プロフェッショナルな印象を損なう恐れがあります。
適切な類義語を知り、状況に応じて使い分けることで、あなたの文章は格段に洗練されます。
本記事では、ビジネスシーンで使える「しっかり」の類義語とその使い分けについて、具体例とともに詳しく解説します。
正しい言葉選びで、あなたのビジネスコミュニケーションを一段上のレベルへと引き上げましょう。
この記事でわかること
- 「しっかり」を避けるべき状況と適切な使用場面
- ビジネス文書で使える「しっかり」の類義語と各語句のニュアンスの違い
- シーン別・目的別の類義語の効果的な使い分け方
- 「しっかり」の類義語を使った例文とテンプレート
- 「しっかり」の類義語使用時の注意点と言い換えのコツ
ビジネス文書での言葉選びに悩んでいる方、表現のバリエーションを増やしたい方は、ぜひ最後までお読みください。
あなたの文章力が確実にアップします。
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「しっかり」とは?ビジネス文書での使用実態
「しっかり」は日常会話でもビジネスシーンでも頻繁に使われる便利な表現ですが、ビジネス文書では過剰使用が目立つ言葉でもあります。
この章では、「しっかり」の基本的な意味や使用実態について解説します。
「しっかり」の基本的な意味と用法
「しっかり」は主に以下の意味で使用されます
- 確実に・間違いなく:「報告書をしっかり確認する」
- 十分に・十全に:「しっかり準備をする」
- 強固に・堅固に:「しっかり固定する」
- きちんと・適切に:「しっかり対応する」
具体例:
- 「明日の会議の資料をしっかりチェックしておきます」
- 「プロジェクトの進捗状況をしっかり把握しています」
間違いやすいポイント
「しっかり」は口語的な表現であり、ビジネス文書では場面によっては適さないことがあります。
特に、フォーマルな文書や上司・取引先向けの文書では、より洗練された表現に置き換えるべき場合があります。
ビジネス文書における「しっかり」の過剰使用の問題点
ビジネス文書で「しっかり」を多用すると、以下のような問題が生じます
- 曖昧な印象を与える:具体性に欠け、どの程度行うのか明確でない
- プロフェッショナルさに欠ける:カジュアルな印象を与えることがある
- 文章が単調になる:同じ表現の繰り返しで読みづらさを生む
- 説得力の低下:具体的なアクションや方法が伝わりにくい
具体例
- 「しっかり確認しますので、しっかり準備をして、しっかり対応いたします」 → 繰り返しが多く、具体性に欠ける文章になっています
間違いやすいポイント
「しっかり」を使うことで誠意や確実性を伝えようとしがちですが、逆に抽象的で誠意が伝わりにくくなる場合があります。
具体的なアクションを示す表現の方が、相手に安心感を与えられます。
すぐに使える「しっかり」の類義語一覧
「しっかり」に代わる表現は数多く存在します。
この章では、すぐに使える「しっかり」の類義語を目的別に紹介し、それぞれのニュアンスの違いを解説します。
確実性・正確性を強調する類義語
確実に実行する、間違いなく行うというニュアンスを伝えたい場合の類義語です。
- 確実に:間違いなく実行することを強調
- 間違いなく:ミスなく行うことを明示
- 確かに:疑いなく行うことを表現
- きちんと:適切に、抜かりなく行うこと
- 着実に:一歩一歩確実に進めることを表現
- 漏れなく:すべてを網羅して行うこと
具体例
- 「ご指摘いただいた点を確実に修正いたします」
- 「会議の議事録を間違いなく作成し、共有します」
間違いやすいポイント
それぞれの言葉には微妙なニュアンスの違いがあります。
例えば「確実に」は結果に焦点を当てていますが、「着実に」はプロセスに焦点を当てています。
状況に応じて適切な言葉を選びましょう。
徹底度・完全性を強調する類義語
徹底的に行う、完全に実施するというニュアンスを伝えたい場合の類義語です。
- 徹底的に:不十分さを残さず完全に行うこと
- 完全に:欠けるところなく全体を行うこと
- 万全に:あらゆる面で問題なく行うこと
- 十分に:必要な量や程度を満たすこと
- 入念に:細部まで注意深く行うこと
- 綿密に:詳細まで細かく行うこと
具体例
- 「プレゼン資料を徹底的に見直しました」
- 「セキュリティ対策を万全に整えております」
間違いやすいポイント
これらの表現を使う際は、実際にそのレベルの対応ができているかを確認しましょう。
「完全に」「万全に」などの表現は、100%の対応を意味するため、責任を持てる範囲で使用すべきです。
堅固さ・強度を強調する類義語
固く、強くというニュアンスを伝えたい場合の類義語です。
- 強固に:強くしっかりと
- 堅固に:固くて丈夫に
- 強力に:大きな力で
- 確固として:揺るぎなく強く
- 堅実に:着実で信頼できるさま
具体例
- 「取引先との関係を強固に構築していきます」
- 「データセキュリティを堅固に保護する体制を整えました」
間違いやすいポイント
これらの表現は物理的な強さだけでなく、抽象的な関係性や体制などにも使用できますが、文脈に合わせて適切に選ぶ必要があります。
シーン別「しっかり」の類義語の使い分け方
ビジネスシーンによって、最適な「しっかり」の類義語は異なります。
この章では、シーン別の効果的な類義語の使い分け方を紹介します。
上司への報告・連絡場面での使い分け
上司への報告や連絡では、責任感と確実性を伝える表現が重要です。
- 確実に:「ご指示いただいた資料を確実に準備いたします」
- 着実に:「プロジェクトを着実に進行させております」
- きちんと:「会議の内容をきちんと記録しております」
- 漏れなく:「重要事項を漏れなく報告いたします」
具体例
- (×) 「資料はしっかり作成しておきます」
- (○) 「資料は期限までに確実に作成してお送りいたします」
間違いやすいポイント
上司への報告では、曖昧さを避け、具体的にどのように対応するかを伝えることが重要です。
「しっかり」だけでは具体性に欠けるため、より明確な表現を選びましょう。
取引先とのやり取りでの使い分け
取引先とのコミュニケーションでは、プロフェッショナルな印象を与える表現が求められます。
- 万全を期して:「納品に向けて万全を期して準備いたします」
- 入念に:「ご提案内容を入念に検討させていただきます」
- 細心の注意を払って:「お客様の情報は細心の注意を払って管理しております」
- 確かに:「ご依頼の件、確かに承りました」
具体例
- (×) 「しっかり対応しますので、よろしくお願いします」
- (○) 「ご要望に沿って入念に準備し、期日までに納品いたします」
間違いやすいポイント
取引先とのやり取りでは、単に「しっかり」と言うだけでは誠意が伝わりにくいことがあります。
具体的な対応方法や手順を示す表現を使うことで、信頼感を高めることができます。
社内メールでの使い分け
社内メールでは、明確さと効率性が重要です。状況に応じた適切な表現を選びましょう。
- 確認の上:「データを確認の上、返信いたします」
- 正確に:「会議の時間を正確にお知らせします」
- 遺漏なく:「必要な情報を遺漏なく共有いたします」
- 適切に:「ご意見を適切に反映させていただきます」
具体例
- (×) 「資料をしっかり読んでおきます」
- (○) 「資料に目を通し、次回の会議で的確に意見を述べられるよう準備します」
間違いやすいポイント
社内メールでも、具体性を持たせることが大切です。
「しっかり」という言葉を避け、どのように対応するかを明確に伝えましょう。
プレゼンテーションでの使い分け
プレゼンテーションでは、説得力と信頼性を高める表現が効果的です。
- 綿密に:「市場調査を綿密に行った結果、この戦略が最適と判断しました」
- 詳細に:「競合分析を詳細に実施しています」
- 徹底的に:「コスト削減案を徹底的に検討しました」
- 精査して:「データを精査して最終判断を下しています」
具体例
- (×) 「しっかり調査したので、この提案は良いと思います」
- (○) 「3ヶ月間にわたり綿密な調査を行い、500名以上のユーザーからフィードバックを得た結果、この提案が最適であると結論づけました」
間違いやすいポイント
プレゼンテーションでは、根拠や具体的なプロセスを示すことが重要です。
単に「しっかり」と言うだけでなく、どのように調査・分析したかを明確に伝えることで、説得力が増します。
「しっかり」の類義語を活用した例文・テンプレート
この章では、「しっかり」の類義語を使った実用的な例文とテンプレートを紹介します。
これらをアレンジして、あなたのビジネス文書に活用してください。
ビジネスメールでの活用例文
敬語表現での例文
確認・回答のメール
- 「ご依頼の件につきまして、詳細を確実に確認いたしました」
- 「ご質問の点について、正確にお答えいたします」
- 「ご提案内容を入念に検討させていただきました」
- 「いただいたフィードバックを適切に反映させていただきます」
約束・保証のメール
- 「期日までに間違いなく納品させていただきます」
- 「ご要望に沿った対応を確実に行ってまいります」
- 「品質管理を徹底的に行い、最高の製品をお届けいたします」
- 「お客様の個人情報は細心の注意を払って管理いたします」
具体例:
件名:プロジェクト進捗報告(3月第2週)
〇〇様
お世話になっております。△△です。
先週ご依頼いただきましたプロジェクトの進捗状況について、以下のとおり正確にご報告いたします。
1. 市場調査:予定通り完了
→ 調査結果を綿密に分析し、レポートを作成いたしました。
2. 競合分析:進行中
→ 主要な競合5社について詳細に分析を進めております。
→ 来週水曜日までに確実に完了させます。
今後も計画に沿って着実に進めてまいります。
何かご質問がございましたら、迅速にお答えいたしますので、お気軽にご連絡ください。
よろしくお願いいたします。
間違いやすいポイント
メールでは、相手の立場や関係性に応じた敬語レベルを選ぶことが重要です。
取引先や上司には丁寧な表現を、同僚には適度な敬語を使い分けましょう。
ビジネスシーン別の例文
会議・打ち合わせ関連
- 「会議の議題を事前に綿密に準備いたしました」
- 「ディスカッションの内容を正確に記録いたします」
- 「決定事項を遺漏なく共有いたします」
- 「次回の打ち合わせまでに、課題を着実に解決いたします」
プロジェクト管理関連
- 「プロジェクトのスケジュールを詳細に管理しています」
- 「リスク要因を徹底的に分析し、対策を講じています」
- 「チーム間の連携を万全に整えております」
- 「目標達成に向けて着実に進捗を重ねております」
具体例:
件名:新商品開発プロジェクト - リスク管理について
プロジェクトメンバーの皆様
先日の会議で議論したリスク管理について、以下の対応を徹底的に実施します。
1. 開発遅延リスク
→ マイルストーンごとに詳細な進捗確認を行います
→ 週次報告を正確に記録し、問題点を早期発見します
2. 品質管理リスク
→ 中間検査を綿密に実施します(4/15, 5/20, 6/10)
→ テスト項目を漏れなくチェックします
各担当者は上記を適切に実行し、問題が発生した際は即座に報告してください。
次回の全体会議で、対応状況を確実に共有します。
よろしくお願いします。
間違いやすいポイント
ビジネスシーンに応じた適切な表現を選ぶことが重要です。
進捗報告には「着実に」、品質管理には「徹底的に」など、状況に合った類義語を使いましょう。
報告書・企画書での活用テンプレート
報告書での活用例
進捗報告書
【プロジェクト進捗報告】
1. 現状分析
当初の計画に対して、各タスクを着実に進行しております。
特に市場調査については、予定より1週間早く完了しました。
2. 課題と対応策
人員不足の課題に対して、リソース配分を最適化し、効率的に対応しています。
次のフェーズに向けて、詳細な準備を進めております。
3. 今後の計画
来週以降のスケジュールを入念に見直し、遅延リスクを排除しました。
顧客フィードバックを確実に反映させ、完成度を高めてまいります。
間違いやすいポイント
報告書では「しっかり」という曖昧な表現を避け、具体的な進捗状況や対応内容を明確に伝えることが重要です。
数値や具体的な日程を含めると、より信頼性が増します。
企画書での活用例
企画提案書
【新サービス企画提案】
1. 市場分析
競合サービスを徹底的に分析した結果、以下の差別化ポイントを見出しました。
顧客ニーズを綿密に調査し、最適なサービス設計を行いました。
2. 実施計画
サービス導入までのロードマップを詳細に設計しています。
各フェーズでの品質管理を万全に行い、高品質なサービス提供を実現します。
3. 期待効果
ROIを正確に算出し、投資回収計画を立案しました。
顧客満足度向上のための施策を確実に実行します。
間違いやすいポイント
企画書では、根拠や具体的な計画を示すことが重要です。
「徹底的に」「詳細に」などの表現を使う際は、それを裏付ける具体的な内容を記載しましょう。
「しっかり」の類義語の使用による印象の違い
言葉選びは、読み手に与える印象に大きく影響します。
この章では、「しっかり」の類義語を使い分けることで生じる印象の違いを解説します。
「しっかり」と類義語の印象比較
同じ意図を伝えるにも、使う言葉によって読み手の受け取り方が異なります。
以下に代表的な例を示します。
表現 | 与える印象 | 適している場面 |
---|---|---|
しっかり | カジュアルで日常的 | 社内の軽いやり取り |
確実に | 信頼感があり責任感を示す | 重要な約束、納期の保証 |
きちんと | 整然とした印象、丁寧さ | 細部への配慮が必要な場面 |
徹底的に | 強い意志と完璧を目指す姿勢 | 問題解決、品質管理 |
入念に | 慎重で細心の注意を払う姿勢 | 重要文書の確認、準備 |
着実に | 堅実でぶれない印象 | 長期プロジェクト、段階的な進行 |
具体例
- 「報告書をしっかり確認します」→ 日常的で軽い印象
- 「報告書を確実に確認します」→ 責任感と確実性を感じさせる
- 「報告書を入念に確認します」→ 慎重さと細部への配慮を感じさせる
間違いやすいポイント
相手との関係性や状況に合わない表現を選ぶと、違和感を与える場合があります。
公式な文書や重要な約束には「確実に」「入念に」などを使い、カジュアルな社内連絡では「きちんと」「適切に」などが適しています。
上司・同僚・部下への使い分けによる印象操作
相手によって使い分けることで、適切な関係性を構築できます。
上司への報告
- 推奨:「確実に」「入念に」「遺漏なく」
- 避けるべき:「しっかり」(カジュアルすぎる)
- 効果:信頼性と責任感を示せる
同僚とのやり取り
- 推奨:「きちんと」「適切に」「正確に」
- 避けるべき:「徹底的に」(堅苦しすぎる場合も)
- 効果:協力的で信頼できる同僚としての印象を与える
部下への指示
- 推奨:「確実に」「着実に」「漏れなく」
- 避けるべき:「完璧に」(プレッシャーが強すぎる場合も)
- 効果:明確な期待を伝えつつ、適切な指導者としての印象を与える
具体例
- 上司へ:「プレゼン資料を入念に準備し、明日の午前中に確実にお送りします」
- 同僚へ:「データを適切に整理して、使いやすい形で共有しますね」
- 部下へ:「このレポートは、以下の3点に注意して、漏れなく作成してください」
間違いやすいポイント
相手の立場や状況を考慮せず、一律に同じ表現を使うと、適切な人間関係の構築が難しくなることがあります。
相手との関係性や文脈に応じて、適切な表現を選びましょう。
ビジネス文書で避けるべき「しっかり」の使用例
「しっかり」という言葉は便利ですが、ビジネス文書では不適切な使用が多く見られます。
この章では、避けるべき使用例と改善案を紹介します。
「しっかり」が適さないビジネス文書の場面
以下の場面では、「しっかり」の使用を避け、より適切な表現に置き換えましょう。
1. 正式な提案書や報告書
- (×) 「市場調査をしっかり行いました」
- (○) 「市場調査を綿密に行い、500名のユーザーから回答を得ました」
2. クライアントへの重要な約束
- (×) 「納期をしっかり守ります」
- (○) 「納期を厳守いたします」「期日までに確実にお届けいたします」
3. トラブル対応の説明
- (×) 「原因をしっかり調査します」
- (○) 「原因を徹底的に調査し、再発防止策を講じます」
4. 経営計画や戦略文書
- (×) 「利益をしっかり確保します」
- (○) 「前年比10%の利益増加を目標に、収益構造を最適化します」
具体例
【改善前】
新商品の開発にあたり、市場調査をしっかり行い、ユーザーニーズをしっかり把握して、品質管理もしっかり行います。
【改善後】
新商品の開発にあたり、20〜40代の女性500名に対する詳細な市場調査を実施し、ユーザーニーズを正確に把握しました。また、ISO9001に準拠した品質管理システムを導入し、製品の安全性と信頼性を確保します。
間違いやすいポイント
「しっかり」は具体性に欠けるため、何をどのように行うのかが伝わりません。
より具体的なアクションや方法、数値などを示すことで、文書の説得力と信頼性が高まります。
また、同じ言葉の繰り返しは文章を単調にし、プロフェッショナルな印象を損ねます。
NG例と改善例の比較
実際のビジネス文書でよく見られるNG例と、その改善例を比較してみましょう。
例1:メールでの報告
- (×) 「ミーティングでの内容をしっかり確認したので、しっかり対応します」
- (○) 「ミーティングでの決定事項を正確に記録し、各担当者と連携して、期日までに確実に対応いたします」
例2:企画書の一節
- (×) 「市場調査をしっかり行い、消費者のニーズをしっかり把握しました」
- (○) 「20代〜50代の男女1,000名を対象にしたアンケート調査と、10グループのフォーカスグループインタビューを実施し、消費者ニーズを多角的に分析しました」
例3:プロジェクト計画書
- (×) 「スケジュール管理をしっかり行い、品質をしっかり確保します」
- (○) 「週次の進捗確認会議を設け、ガントチャートに基づいたスケジュール管理を徹底します。また、3段階の品質チェック工程を導入し、出荷前に製品品質を入念に検証します」
具体例
【改善前】
今回のクレームについて、しっかり調査し、しっかり対応させていただきますので、しばらくお待ちください。
【改善後】
今回いただいたクレームについて、以下の手順で対応いたします。
1. 3月17日までに原因を徹底的に調査
2. 3月18日に調査結果と対応策をご報告
3. お客様のご承認後、速やかに改善措置を実施
ご不便をおかけして申し訳ございませんが、最適な解決策をご提案できるよう万全を期してまいります。
間違いやすいポイント
「しっかり」という言葉を使うと、具体的にどのような対応をするのか伝わりません。
具体的な対応手順や期限を明示することで、相手に安心感を与えることができます。
「しっかり」とその類義語の使い分けのコツ
ビジネス文書で「しっかり」とその類義語を効果的に使い分けるためのコツを紹介します。
状況や目的に合わせて最適な表現を選びましょう。
文脈と目的に応じた類義語の選択方法
文書の種類や伝えたいニュアンスによって、最適な類義語は異なります。
以下のポイントを参考に選択しましょう。
1. 伝えたい内容の焦点を明確にする
- プロセス重視:「入念に」「綿密に」「丁寧に」
- 結果重視:「確実に」「間違いなく」「完全に」
- 継続性重視:「着実に」「堅実に」「地道に」
2. 文書の公式度に合わせる
- 公式度高:「確実に」「入念に」「遺漏なく」
- 公式度中:「きちんと」「適切に」「正確に」
- 公式度低(社内メールなど):「しっかり」「ちゃんと」
具体例
- 取引先への提案書(公式度高):「貴社のご要望に沿って、最適な解決策を入念に検討いたしました」
- 社内報告書(公式度中):「市場調査を適切に実施し、以下の結果を得ました」
- チーム内メール(公式度低):「明日までにしっかり確認しておきます」
間違いやすいポイント
文書の公式度と使用する表現のレベルが合っていないと、違和感を与えることがあります。
相手や状況に応じて適切なレベルの表現を選びましょう。
効果的な言い換えのための3ステップ
「しっかり」を言い換える際の効果的な手順を紹介します。
STEP 1:「しっかり」が表す具体的な内容を明確にする
- 何を・どのように・どの程度行うのかを考える
- 例:「資料をしっかり確認する」→「何をチェックするのか」「どの程度の確認か」を明確にする
STEP 2:状況に最適な類義語を選ぶ
- 相手との関係性、文書の公式度、伝えたいニュアンスを考慮
- 例:上司への報告なら「入念に」、契約書なら「確実に」など
STEP 3:具体的な行動や数値を加える
- 抽象的な表現を避け、具体的な行動や数値、期限などを明示する
- 例:「資料を入念に確認し、特に数値データと引用部分を重点的にチェックします」
具体例
- (変更前) 「プレゼン資料をしっかり準備します」
- (変更後) 「プレゼン資料を綿密に作成し、特に競合分析と市場予測のデータを詳細に盛り込みます」
間違いやすいポイント
言い換えるだけでなく、具体的な内容を追加することが重要です。
単に「しっかり」を「確実に」などに置き換えるだけでは、まだ具体性に欠ける場合があります。
まとめ:「しっかり」の類義語を使いこなす
本記事では、ビジネス文書における「しっかり」の類義語とその効果的な使い分け方について解説してきました。
適切な言葉選びは、あなたの文章の質を高め、プロフェッショナルな印象を与える重要な要素です。
「しっかり」は便利な言葉ですが、ビジネス文書では過剰使用を避け、状況に応じた適切な類義語を選ぶことが大切です。
確実性を強調したい場合は「確実に」「間違いなく」、徹底度を示したい場合は「徹底的に」「入念に」、堅固さを伝えたい場合は「強固に」「堅固に」など、伝えたいニュアンスに合わせた表現を選びましょう。
特に重要なのは、抽象的な表現だけで終わらせず、具体的な行動や数値、方法を明示することです。
「確実に期日までに」「3段階のチェックを入念に行い」「全項目を漏れなく確認」など、具体性を持たせることで、文書の信頼性と説得力が格段に高まります。
また、相手や状況に応じた言葉選びも重要です。
上司や取引先には「確実に」「入念に」など信頼感のある表現を、同僚には「適切に」「きちんと」など協調性を感じさせる表現を選ぶことで、適切な人間関係の構築にも役立ちます。
「しっかり」の類義語を適切に使いこなすことで、あなたのビジネス文書はより洗練され、説得力のあるものになるでしょう。
この記事で紹介した表現を参考に、状況に応じた最適な言葉選びを心がけてください。
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よくある質問(FAQ)
「しっかり」の類義語と使い分けに関する、よくある質問にお答えします。
Q1: 「しっかり」は完全に使わない方がいいのでしょうか?
A1: 完全に使わない必要はありません。
状況によっては「しっかり」が適している場合もあります。
特に社内の軽いやり取りや、親しい関係の相手とのカジュアルなコミュニケーションでは問題ありません。
ただし、公式文書や重要な報告書、取引先とのやり取りなど、プロフェッショナルな印象を与えたい場面では、より適切な類義語を選ぶことをおすすめします。
Q2: 「しっかり」の類義語を使う際の最大のポイントは何ですか?
A2: 最大のポイントは、具体性を持たせることです。
「しっかり」もその類義語も、それだけでは抽象的な表現に留まります。
例えば「入念に確認します」と言うだけでなく、「特に数値データと引用部分を重点的にチェックし、入念に確認します」のように、何をどのように行うのかを具体的に示すことで、文書の信頼性と説得力が高まります。
Q3: メールと報告書では、「しっかり」の類義語の使い方に違いはありますか?
A3: はい、違いがあります。
メールは比較的カジュアルなコミュニケーション手段であるため、「きちんと」「適切に」などの中程度の公式度の表現が適しています。
一方、報告書はより公式な文書であるため、「確実に」「入念に」「綿密に」などの公式度の高い表現を選ぶと良いでしょう。
また、報告書ではより詳細な情報や数値を含めるなど、具体性も高める必要があります。
Q4: 「ちゃんと」と「きちんと」の違いは何ですか?
A4: 「ちゃんと」と「きちんと」は似た意味を持ちますが、「ちゃんと」はより口語的でカジュアルな表現です。
ビジネス文書では「ちゃんと」の使用は避け、「きちんと」を使うことをおすすめします。
さらに公式度の高い文書では、「きちんと」よりも「適切に」「正確に」などの表現がより適切です。
Q5: 英語のビジネスメールでは、「しっかり」の類義語はどのように表現すればよいですか?
A5: 英語のビジネスメールでは、状況に応じて以下のような表現が適しています
- 「確実に」→ “certainly”, “definitely”, “without fail”
- 「入念に」→ “thoroughly”, “carefully”, “meticulously”
- 「きちんと」→ “properly”, “correctly”, “appropriately”
- 「徹底的に」→ “exhaustively”, “comprehensively”
- 「着実に」→ “steadily”, “consistently”, “progressively”
英語でも、具体的な行動や方法を示すことが重要です。
例えば、”I will check the document thoroughly, focusing on the financial data and legal terms” のように具体性を持たせると良いでしょう。