ビジネスメールで頻繁に使われる「よろしくお願いします」という表現。
この「よろしく」を漢字で「宜しく」と書くべきか、ひらがなで「よろしく」と書くべきか迷ったことはありませんか?
実は、この表記の選択一つで、あなたのビジネス文書の印象や評価が大きく変わることがあります。
本記事では、「よろしく」と「宜しく」の正しい使い分け、よくある間違い、そして実践的なビジネスシーンでの適切な表現方法を解説します。
これを読めば、自信を持って正しい日本語表記でメールを送れるようになります。
この記事でわかること
- 「よろしく」と「宜しく」の正しい表記ルールと使い分け
- ビジネスメールで「よろしく」を使う際の適切な敬語表現
- 「よろしく」の漢字表記が間違いとされる理由と背景知識
- 状況別・相手別の「よろしくお願いします」の言い換え表現
- プロフェッショナルな印象を与えるメールの締めくくり方
この記事を読めば、ビジネスメールでの「よろしく」の表記に迷うことなく、プロフェッショナルな印象を与える正しい表現が身につきます。
「よろしく」と「宜しく」の基本知識
「よろしく」と「宜しく」の基本的な違いを理解し、なぜビジネス文書では「よろしく」が推奨されるのかを解説します。
表記の歴史と変遷
「よろしく」は本来「宜しく」と漢字で書かれることもありましたが、現代の公用文や一般的なビジネス文書では、常用漢字表に基づき「よろしく」とひらがな表記が標準とされています。
具体例
✅ 「本件についてよろしくお願いいたします。」(正しい表記)
❌ 「本件について宜しくお願いいたします。」(不適切な表記)
常用漢字表における「宜」の位置づけ
「宜」の漢字は常用漢字表には含まれておらず、公用文では使用を避けるべき漢字とされています。
そのため、ビジネス文書では「よろしく」とひらがなで表記するのが正式とされています。
間違いやすいポイント
「宜しく」と書いてしまう理由として、古風な印象や格式高さを出したいという意図がありますが、実際には誤用と見なされる可能性が高いのでご注意ください。
「宜」の意味と語源
「宜」という漢字は「よい」「適切である」という意味を持ち、「宜しい(よろしい)」は「良い」の丁寧な言い方として発展してきました。
この漢字を知ることで、「よろしくお願いします」が持つ「適切に対応してください」という本来の意味も理解できます。
ビジネスシーンにおける「よろしく」の正しい表記
ビジネスシーンでは、「よろしく」の表記についてどのようなルールがあるのか詳しく見ていきましょう。
公用文・ビジネス文書の基本ルール
文化庁の「公用文作成の要領」や日本語文化審議会の指針に基づき、ビジネス文書では「よろしく」をひらがなで表記するのが一般的です。
【参考情報】文化庁:公式サイト/公用文作成の要領(公用文改善の趣旨徹底について) 解説
多くの企業の社内ルールでも同様に定められています。
具体例
企業の公式文書:「今後とも弊社サービスをよろしくお願いいたします。」
社内メール:「会議の資料準備をよろしくお願いします。」
企業別スタイルガイドの違い
企業によっては独自の文書作成ガイドラインを持っており、表記ルールに若干の違いがあります。
入社時の研修資料や社内ハンドブックで確認するとよいでしょう。
間違いやすいポイント
過去の上司や先輩の書いた文書を真似て「宜しく」と書いてしまうケースがありますが、それが必ずしも正しいとは限りません。
最新の日本語ルールに基づくことが重要です。
デジタルツールでの表記チェック
Microsoft WordやGoogleドキュメントなどの文書作成ソフト、またはビジネス向け校正ツールでは、「宜しく」と入力すると修正を提案されることが多いです。
これらのツールを活用することで、表記の誤りを防ぐことができます。
「よろしく」の使い方と状況別の適切な表現
「よろしく」を使う際のバリエーションと、状況に応じた適切な使い分けについて解説します。
基本的な使い方と敬語表現
「よろしくお願いします」は依頼の際に用いる丁寧な表現です。
相手との関係性に応じて敬意のレベルを調整する必要があります。
具体例
上司・取引先:「よろしくお願いいたします」
同僚・部下:「よろしくお願いします」
シーン別の適切な「よろしく」表現
ビジネスシーンごとに適切な「よろしく」の使い分けを確認しましょう。
具体例
- 依頼メール:「ご検討のほど、よろしくお願いいたします。」
- 紹介時:「今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。」
- お詫び時:「今後このようなことがないよう努めてまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。」
間違いやすいポイント
「よろしく」だけでは丁寧さに欠ける場合があります。
「何卒」「ご検討のほど」などを状況に応じて付け加えることで、より丁寧な印象になります。
「よろしく」の過剰使用に注意
一つのメール内で「よろしく」を何度も繰り返すと、冗長で洗練されていない印象を与えます。
異なる表現を使い分けることを心がけましょう。
相手との関係性に応じた「よろしくお願いします」の言い換え
相手との関係性によって、「よろしくお願いします」をどのように言い換えるべきかを解説します。
目上の人・取引先への表現
目上の人や重要な取引先に対しては、より丁寧な表現を用いる必要があります。
具体例
- 「何卒よろしくお願い申し上げます。」
- 「ご高配のほど、よろしくお願いいたします。」
- 「ご支援賜りますよう、よろしくお願いいたします。」
同僚・部下への表現
同僚や部下に対しては、柔らかい表現を心がけましょう。
具体例
- 「よろしくお願いします。」
- 「対応をお願いします。」
- 「助かります。よろしくお願いします。」
間違いやすいポイント
社内の同僚に対して過度に丁寧な表現を使うと、かえって距離感が生まれることがあります。
相手との関係性に合わせた適切な敬語レベルを選びましょう。
英語でのビジネスメールとの対比
英語のビジネスメールでは “Please” や “Thank you” などが「よろしくお願いします」に相当します。
文化的な違いを理解することで、国際的なビジネスコミュニケーションも円滑になります。
「よろしく」の敬語表現における間違いやすいポイント
「よろしく」を使った敬語表現でよくある間違いと、その修正方法を解説します。
二重敬語に注意
「よろしくお願いします」の表現で二重敬語になっていないか確認しましょう。
具体例
❌ 「よろしくお願いしてくださいませ」(二重敬語)
✅ 「よろしくお願いいたします」(正しい敬語)
「お・ご」の付け方
「お願い」には既に「お」が付いているため、「おお願い」とはなりません。
接頭語の正しい使い方を理解しましょう。
間違いやすいポイント
「よろしく御願いします」と「御」を使った表現も見かけますが、現代のビジネス文書では「お願いします」が一般的です。
メールの結びとしての「よろしく」
メールの結びに「よろしく」だけを単独で使うのは丁寧さに欠けます。
必ず「お願いします」や「お願いいたします」を付けましょう。
具体例
❌ 「資料を添付しました。よろしく。」(不適切)
✅ 「資料を添付しました。よろしくお願いいたします。」(適切)
メールの締めくくりに使える「よろしく」以外の表現
「よろしくお願いします」以外にも、ビジネスメールの締めくくりに使える表現を紹介します。
状況別の締めくくり表現
状況に応じた多様な締めくくり表現を知っておくと、メールの印象が良くなります。
具体例
- 依頼後の感謝:「お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。」
- 質問への回答依頼:「ご教示いただければ幸いです。」
- 提案後:「ご検討いただけますと幸甚です。」
フォーマル度による使い分け
相手との関係性やメールの目的に応じて、フォーマル度を調整しましょう。
間違いやすいポイント
初めての取引先や目上の人に対して、カジュアルすぎる締めくくり表現を使わないよう注意しましょう。
「よろしく」だけで終わるのは特に避けるべきです。
シーン別テンプレート
よく使うシーン別のテンプレートを用意しておくと、メール作成の効率が上がります。
ビジネスシーン別
- 資料送付時:「ご確認のほど、よろしくお願いいたします。」
- 会議設定時:「ご出席のほど、よろしくお願いいたします。」
- 依頼時:「ご対応のほど、よろしくお願いいたします。」
まとめ:ビジネスメールで好印象を与える「よろしく」の使い方
本記事では、ビジネスメールにおける「よろしく」の正しい表記と使い方について解説しました。
「よろしく」はひらがなで表記するのが現代のビジネス文書の標準です。
「宜しく」という漢字表記は常用漢字表に含まれていないため、公用文やビジネス文書では避けるべきとされています。
また、相手との関係性や状況に応じて「よろしくお願いします」の表現を適切に変化させることが重要です。
目上の人には「何卒よろしくお願い申し上げます」など、より丁寧な表現を使い、同僚には「よろしくお願いします」というシンプルな表現が適しています。
ビジネスメールの締めくくりには「よろしく」だけでなく、状況に応じた多様な表現を使い分けることで、より洗練された印象を与えることができます。
正しい日本語表記と適切な敬語表現を身につけることで、プロフェッショナルなビジネスコミュニケーションを実現しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1: 「宜しく」と書くのは完全に間違いですか?
A1: 完全な間違いというわけではありませんが、現代のビジネス文書では「よろしく」とひらがなで書くのが一般的です。
「宜」は常用漢字表に含まれていないため、公用文や一般的なビジネス文書では使用を避けるべきとされています。
ただし、歴史的な文書や伝統的な文脈では「宜しく」と表記されることもあります。
Q2: 目上の人に「よろしく」だけで終わるメールを送ってしまいました。どうすればよいですか?
A2: 気づいたら、フォローアップのメールで「先ほどのメールの締めくくりが不適切でした。
改めて、○○についてよろしくお願いいたします」と伝えるとよいでしょう。
次回からは必ず「よろしくお願いいたします」など、丁寧な表現を使うよう心がけましょう。
Q3: 「よろしくお願いします」を使いすぎているように感じます。他の言い方はありますか?
A3: はい、状況に応じて「ご検討いただければ幸いです」「お力添えいただけますと助かります」「ご協力をお願いいたします」などの表現に変えることができます。
目的や依頼内容に合わせて言い換えることで、より具体的で丁寧な印象になります。
Q4: 社内と社外で「よろしく」の使い方を変えるべきですか?
A4: はい、相手との関係性によって敬語レベルを調整することが重要です。
社外や目上の方には「よろしくお願いいたします」などより丁寧な表現を、社内の同僚には「よろしくお願いします」というシンプルな表現を使い分けるとよいでしょう。
Q5: メールソフトの辞書登録で「よろしく」と「宜しく」どちらを登録すべきですか?
A5: ビジネスメールでは「よろしく」とひらがな表記を辞書登録しておくことをお勧めします。
これにより、誤って「宜しく」と入力してしまうミスを防ぐことができます。
また、「よろしくお願いいたします」といった一連のフレーズを登録しておくと便利です。