ビジネス文書を作成するとき、
「『記』を書いたら最後に『以上』も必要?」
「『以上』は文書のどこに書けばいい?」
「報告書や議事録の最後にも『以上』を付ける?」
「拝啓・敬具・記・以上はどの順番?」
と迷うことがあります。
まず結論から確認しましょう。
| 疑問 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 「記」は何のため? | 本文とは別に日時・場所・内容などを整理して示す |
| 「以上」は何のため? | 列記した内容などの終わりを示す |
| 「記」と「以上」はセット? | 「記」で始めた記書きを「以上」で結ぶ形式がよく使われる |
| 箇条書きなら必ず「記」? | 必須ではない |
| 報告書の最後に「以上」は必要? | 必須ではない |
| 議事録の最後に「以上」は必要? | 必須ではない |
| メールに「以上」は必要? | 通常は必須ではない |
| 「記」なしで「以上」だけ使える? | 文書によっては使える |
| 「記」だけで終わってもいい? | 指定書式によるが、正式な記書きなら「以上」で結ぶ形式が一般的 |
文化庁の「公用文作成の考え方」では、通知や依頼などで本文と別の部分に分けて書く「記書き」について、本文中に「下記」などを用い、本文と下記部分の間の中央に「記」を置く方法が示されています。
一方で、すべてのビジネス文書に一律の形式があるわけではありません。
文化庁も、文書の構成には「いつでも使えるような型」があるわけではなく、文書の性格や既存の形式に応じて構成する考え方を示しています。
この記事では、「記」「以上」の位置・順番から、報告書・議事録・メールで必要かどうかまで、実務で迷いやすいポイントを例文付きで解説します。
- 「記」「以上」の使い方を最初に結論
- 「記」とは?意味と使い方
- 「以上」とは?文書では何を意味する?
- 「記」と「以上」はセットで使う?
- 「記」「以上」の正しい位置は?
- 「以上」は右寄せ?左寄せ?中央?
- 「記」なしで「以上」だけ使ってもいい?
- 「以上」なしで「記」だけでもいい?
- 「記」の後に文章を書いてもいい?
- 「記」なしで箇条書きにしてもいい?
- 「下記」と「記」は一緒に使う?
- 「以下」と「記」はどう使い分ける?
- 「拝啓・敬具」と「記・以上」の順番は?
- 「敬具」の後に「以上」を書く?
- 報告書の最後に「以上」は必要?
- 議事録の最後に「以上」は必要?
- ビジネスメールの最後に「以上」は必要?
- メールで「記」は使える?
- 案内文での「記」「以上」の例文
- 取引先への案内文での例文
- 「記」と「以上」でよくある間違い
- 「記」「以上」を使うときの実務上のポイント
- よくある質問
- まとめ|「記」は列記の始まり、「以上」は終わりを示す
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「記」「以上」の使い方を最初に結論
典型的なビジネス文書の「記書き」は、次のような構成です。
〇〇について、下記のとおりお知らせいたします。
記
1.日時 〇月〇日 10時
2.場所 〇〇会議室
3.内容 〇〇について
4.備考 〇〇
以上
考え方はシンプルです。
「記」=ここから具体的な内容を列記します
「以上」=列記する内容はここまでです
という役割です。
実際の国の通知でも、「記」の後に項目を列記し、最後を「以上」で結ぶ形式が使われています。(参考サイト:厚生労働省)
ただし、会社・官公庁・学校などで指定の書式がある場合は、そのルールを優先してください。
「記」とは?意味と使い方
ビジネス文書の「記」は、これから具体的な事項をまとめて示すときに使います。
たとえば、
- 日時
- 場所
- 対象者
- 内容
- 申込方法
- 提出期限
- 問い合わせ先
などを本文とは分けて整理するときに便利です。
「記」を使う基本例
社員研修を下記のとおり実施いたします。
記
1.日時 〇月〇日 13時~16時
2.場所 本社会議室
3.対象 営業部社員
4.内容 新商品研修
以上
文化庁の現行の公用文作成指針でも、「記書き」を使う場合には本文中で「下記」などを用い、本文と下記部分の間の中央に「記」を置くとされています。
「以上」とは?文書では何を意味する?
文書末尾の「以上」は、
「ここまでが記載内容です」
と区切りを示すために使われます。
特に「記」で始めた列記事項の終わりを明確にするために使われることがあります。
記
1.開催日 〇月〇日
2.会場 〇〇ホテル
3.時間 14時開始
以上
厚生労働省が公開している通知にも、「記」の後に複数項目を示し、最後を「以上」で結ぶ例があります。(参考サイト:厚生労働省)
「記」と「以上」はセットで使う?
典型的な「記書き」では、
記 → 内容 → 以上
という組み合わせがよく使われます。
したがって、
「記を書いたら『以上』を書いてはいけない」
という考え方ではありません。
むしろ、正式な通知・案内などでは、
記
↓
列記事項
↓
以上
という形式が広く見られます。
国の通知文書にもこの構成の実例があります。(参考サイト:厚生労働省)
ただし、「記」と「以上」を必ずセットにしなければならないという普遍的な文法ルールではありません。
会社独自のテンプレートや文書規程があれば、それに従います。
「記」「以上」の正しい位置は?
基本的には、
- 本文
- 「記」
- 列記事項
- 「以上」
という順番です。
位置のイメージ
本文
本文
本文
記
1.〇〇
2.〇〇
3.〇〇
以上
文化庁は「記」について、本文と下記部分の間の中央に置く形式を示しています。
「以上」は列記事項が終わった後に置きます。
文字の左右位置や余白などは、使用する会社・組織の書式に合わせればよいでしょう。
「以上」は右寄せ?左寄せ?中央?
一般的なビジネス文書のテンプレートでは、「記」を中央、「以上」を右側に配置する形式がよく見られます。
公的な職業能力開発教材にも、「記」を中央に置き、「以上」を右側に配置した文書例があります。(参考サイト:基盤整備センター)
ただし、左右の配置まで一律の日本語文法として決まっているわけではありません。
Wordの社内テンプレートや指定書式があるなら、そちらを優先しましょう。
「記」なしで「以上」だけ使ってもいい?
使われることはあります。
たとえば報告メールで、
〇月〇日に実施した点検についてご報告いたします。
点検結果:異常なし
対応事項:なし
以上
とすることがあります。
ただし、「以上」がなければ文章として成立しないわけではありません。
〇月〇日に実施した点検についてご報告いたします。
点検結果:異常なし
対応事項:なし
よろしくお願いいたします。
でも問題ありません。
つまり、
「記」を使っていないから「以上」を使ってはいけない
ということではありません。
「以上」なしで「記」だけでもいい?
指定されたテンプレートや社内様式であれば、その書式に従います。
ただし、一般的な記書きとして文書を作るのであれば、
記
↓
列記事項
↓
以上
とすると、どこまでが記載事項なのか分かりやすくなります。
したがって、特別な理由がなければ「以上」まで入れておくと収まりがよいでしょう。
「記」の後に文章を書いてもいい?
書けます。
「記」の後は必ず単語だけを書かなければならないわけではありません。
たとえば、
記
1.開催日時
〇月〇日13時より開催いたします。
2.会場
本社3階大会議室を使用します。
3.参加方法
〇月〇日までに担当者へご連絡ください。
以上
のように、各項目の説明を文章で書くこともできます。
大切なのは、「記」の後の情報を分かりやすく整理することです。
「記」なしで箇条書きにしてもいい?
問題ありません。
たとえば普通のメールなら、
会議の詳細は以下のとおりです。
・日時:〇月〇日 10時
・場所:第1会議室
・議題:新商品について
よろしくお願いいたします。
で十分です。
「箇条書き=必ず『記』」
ではありません。
文化庁も「記」について、通知や依頼などで本文と下記部分を分ける「記書き」での使用を説明しています。
単なる箇条書きをすべて「記」にするよう求めているわけではありません。
「下記」と「記」は一緒に使う?
一緒に使えます。
典型的には、
下記のとおりお知らせいたします。
と本文に書き、その後、
記
を置きます。
例
社員研修を下記のとおり実施いたします。
記
1.日時 〇月〇日
2.場所 〇〇
3.対象 〇〇
以上
文化庁も、本文と下記部分に分ける場合には本文中で「下記」等を用い、その間に「記」を置く形式を示しています。
「以下」と「記」はどう使い分ける?
一般的な文章やメールなら、
以下のとおりです。
と書くだけでも構いません。
会議の詳細は以下のとおりです。
・日時:〇月〇日
・場所:〇〇
一方、正式な案内文などで本文と列記事項を分ける場合には、
下記のとおりご案内申し上げます。
記
1.日時
2.場所
以上
という「記書き」が使われます。
文化庁は、本文中で後に続く内容を指す場合には「次の」「以下の」を用いる一方、本文と下記部分に分けた「記書き」では「下記」等を用いるとしています。
「拝啓・敬具」と「記・以上」の順番は?
ここもよく迷うところです。
案内状などで「拝啓」「敬具」と「記」を併用する場合には、
拝啓
時候の挨拶
本文
下記のとおりご案内申し上げます。
敬具
記
1.日時
2.場所
3.内容
以上
という構成が使われます。
つまり、
拝啓 → 本文 → 敬具 → 記 → 列記事項 → 以上
という順番です。
公的機関が公開している文書例でも、「敬具」の後に「記」、列記事項、最後に「以上」という構成が確認できます。(参考サイト:厚生労働省)
「敬具」の後に「以上」を書く?
「敬具」と「以上」は役割が違います。
敬具
→ 「拝啓」などの頭語に対応する結語
以上
→ 「記」で示した列記事項などの終了を示す
したがって、
拝啓
本文
敬具
記
内容
以上
と併用できます。
「敬具があるから以上はいらない」という関係ではありません。
報告書の最後に「以上」は必要?
必須ではありません。
報告書にはさまざまな様式があります。
たとえば、
業務報告書
1.実施日時
2.実施内容
3.結果
4.今後の課題
と項目で終わる報告書もあります。
一方、
以上、〇〇についてご報告いたします。
あるいは末尾に、
以上
と付ける形式もあります。
大切なのは、報告書だから必ず「以上」が必要というわけではないことです。
会社指定の報告書テンプレートがある場合は、その形式に従ってください。
「以上、報告いたします」も使える?
使えます。
以上、ご報告いたします。
以上、〇〇に関する調査結果をご報告いたします。
のように、文章として結ぶ方法もあります。
単独の「以上」とは少し役割が異なり、報告内容を締めくくる結びの文章になります。
議事録の最後に「以上」は必要?
こちらも必須ではありません。
議事録は、
- 会議名
- 開催日時
- 出席者
- 議題
- 決定事項
- 担当者
- 次回予定
などを記録する文書です。
最後を、
次回会議:〇月〇日
で終えても構いません。
また、社内様式として、
以上
を付けるケースもあります。
議事録だから必ず最後に「以上」
というルールではなく、社内フォーマットに合わせるのが基本です。
ビジネスメールの最後に「以上」は必要?
通常のビジネスメールでは必須ではありません。
たとえば、
資料を添付いたしましたので、ご確認いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
だけで十分です。
日常的なメールの最後に毎回、
以上
と書く必要はありません。
「以上」で終わるメール
社内の報告などでは、
本日の作業結果をご報告します。
・作業件数:20件
・完了件数:20件
・問題:なし
以上
と簡潔に終えることもあります。
社外メールなら?
社外メールでは、
何卒よろしくお願いいたします。
ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。
など、通常の結びを使う方が自然な場面が多いでしょう。
「以上」を使うかどうかより、相手・目的・会社のメール文化に合わせることが大切です。
メールで「記」は使える?
使えないわけではありません。
たとえば重要な案内を整理するなら、
下記のとおりご案内いたします。
記
1.日時 〇月〇日
2.場所 〇〇
3.内容 〇〇
以上
というメールも作れます。
ただし、メールでは画面幅やスマートフォン表示によってレイアウトが崩れる場合があります。
そのため通常は、
【日時】〇月〇日
【場所】〇〇
【内容】〇〇
のようなシンプルな形式でも十分です。
案内文での「記」「以上」の例文
社内研修のお知らせ
社員各位
〇〇研修の実施について
下記のとおり社員研修を実施いたします。
対象者はご参加くださいますようお願いいたします。
記
1.日時
〇月〇日 13時~16時
2.場所
本社3階 大会議室
3.対象者
営業部・企画部
4.内容
新商品に関する研修
5.持ち物
筆記用具
以上
取引先への案内文での例文
株式会社〇〇
〇〇部 〇〇様
〇〇株式会社
〇〇部 〇〇
〇〇説明会開催のご案内
拝啓
時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、このたび下記のとおり〇〇説明会を開催することとなりました。
ご多用中とは存じますが、ご参加いただけますと幸いです。
敬具
記
1.日時
〇月〇日 14時~16時
2.場所
〇〇ホテル3階
3.内容
新サービスについて
4.申込期限
〇月〇日
以上
「記」と「以上」でよくある間違い
間違い1:「記」を使ったら「以上」を書いてはいけない
そのようなルールではありません。
むしろ「記→列記事項→以上」は公的文書でも使われる形式です。(参考サイト:厚生労働省)
間違い2:箇条書きなら必ず「記」を入れる
必須ではありません。
メールや簡単な連絡なら普通の箇条書きで十分です。
間違い3:報告書なら必ず「以上」で終わる
必須ではありません。
報告書の様式によって判断します。
間違い4:メールは必ず「以上」で締める
これも必須ではありません。
通常は、
よろしくお願いいたします。
などで自然に締められます。
間違い5:「敬具」と「以上」はどちらか一方しか使えない
役割が違うため併用できます。
正式な案内文では、
敬具 → 記 → 内容 → 以上
という形式も使われます。(参考サイト:厚生労働省)
「記」「以上」を使うときの実務上のポイント
社内規程を最優先する
会社によって、
- 「記」を使う文書
- 「以上」の配置
- 数字表記
- 項目番号
- 日付位置
- 宛名位置
などが決められていることがあります。
指定テンプレートがあるなら、それに従いましょう。
見た目より読みやすさを優先する
形式を整えることは大切ですが、
記を使わなければならないのか?
以上は右から何文字の位置なのか?
と形式だけにこだわりすぎて、本文が分かりにくくなっては本末転倒です。
文化庁の現行指針も、公用文を読み手とのコミュニケーションとして捉え、目的や文書の種類に合わせて構成する考え方を重視しています。
よくある質問
Q1.「記」と「以上」はセットですか?
典型的な記書きでは、
記 → 列記事項 → 以上
という形式がよく使われます。
ただし、すべての文書で絶対にセットにしなければならないわけではありません。
Q2.「記」の後に「以上」は必要ですか?
正式な記書きでは「以上」で終わる形式が一般的です。
ただし、会社や組織で指定書式がある場合は、そのルールを優先します。
Q3.「以上」の位置はどこですか?
列記事項がすべて終わった後に置きます。
一般的なビジネス文書では右側に配置する例が見られますが、組織の様式に従いましょう。(参考サイト:基盤整備センター)
Q4.文章の最後に「以上」を付けてもいい?
付けることはできます。
ただし、通常の文章やメールでは必須ではありません。
Q5.「記」なしで「以上」だけでもいい?
文書によっては使われます。
特に社内報告などで「以上」だけを最後に置くケースがあります。
Q6.「以上」なしで「記」だけでもいい?
指定様式ならその書式に従います。
一般的な正式文書の記書きでは「以上」で列記事項の終了を示すと分かりやすくなります。
Q7.報告書の最後に「以上」は必要?
必須ではありません。
社内規程や報告書の様式に合わせます。
Q8.議事録の最後に「以上」は必要?
必須ではありません。
「以上」を付ける様式も、付けない様式もあります。
Q9.メールの最後に「以上」は必要?
通常は必要ありません。
日常的なビジネスメールなら、
よろしくお願いいたします。
などで十分です。
Q10.メールで「記」「以上」を使ってもいい?
使えます。
ただし、メールでは画面表示を考え、普通の箇条書きの方が読みやすい場合もあります。
Q11.「敬具」「記」「以上」の順番は?
案内文などでは、
拝啓
↓
本文
↓
敬具
↓
記
↓
列記事項
↓
以上
という順番が使われます。(参考サイト:厚生労働省)
Q12.「記」の後に文章を書いてもいい?
問題ありません。
項目名の後に説明文を書く形式でも構いません。
Q13.項目が1つだけでも「記」を使える?
使えないわけではありません。
ただし、項目が1つしかない場合は、わざわざ記書きにせず本文中に書いた方が簡潔な場合があります。
Q14.「記」の前には「下記」と書かなければいけない?
記書きでは、
下記のとおり
などと本文から後続部分を示す形式が一般的です。
文化庁も、本文と下記部分に分けて記書きにする場合には「下記」等を使う方法を示しています。
まとめ|「記」は列記の始まり、「以上」は終わりを示す
ビジネス文書の「記」「以上」は、次のように覚えると分かりやすくなります。
「記」
→ 本文とは別に具体的な事項を列記するときに使う
「以上」
→ 列記した内容などがここで終わることを示す
典型的な記書きは、
本文
記
1.〇〇
2.〇〇
3.〇〇
以上
という構成です。
ただし、
- 箇条書きなら必ず「記」が必要
- 報告書なら必ず「以上」が必要
- 議事録なら必ず「以上」が必要
- メールなら必ず「以上」が必要
というものではありません。
文書の目的や組織の指定書式に応じて判断しましょう。
特に重要なのは、
「記を使ったら以上を付けてはいけない」のではない
という点です。
実際の行政文書でも「記→列記事項→以上」という形式が使われています。(参考サイト:厚生労働省)
形式を守ることだけを目的にするのではなく、読み手が「どこからどこまでが具体的な案内事項なのか」を迷わず理解できる文書にすることが大切です。

