ビジネスシーンで頻繁に使用される「よろしくお願いします」と「よろしくお願いいたします」。
一見似ているようで、使い方を間違えると相手に不快感を与えたり、非常識な印象を与えたりする可能性があります。
本記事では、シーン別の具体的な使い分け方から、上司や取引先との使用例まで、ビジネスで即実践できる内容をご紹介します。
これを理解することで、ビジネスマナーの基本を押さえた信頼される社会人になれます。
この記事でわかること
- 「よろしくお願いします」「いたします」の正しい使い分け方
- シーン別の具体的な例文とテンプレート
- 上司・取引先への適切な使用方法
- よくあるNG例と改善方法
- 応用フレーズと代替表現
ビジネスシーンで必須の挨拶表現を、この記事で完全マスターしましょう。
正しい使い分けで、周囲から一目置かれる存在になれます。
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すぐに使えるシーン別「よろしくお願いします」「いたします」例文
ビジネスで頻出する「よろしくお願いします」「いたします」の例文とテンプレートをご紹介します。
シーンに応じた適切な使い分けを押さえることで、スムーズなコミュニケーションが実現できます。
まずは、すぐに使える実践的な例文から見ていきましょう。
メール・チャットでの使い分けテンプレート
ビジネスメールやビジネスチャットでは、文字でのコミュニケーションだからこそ、より丁寧な表現が求められます。
適切な使い分けで、プロフェッショナルな印象を与え、円滑なコミュニケーションを実現しましょう。
【メール例文】
■取引先へのメール
件名:商品資料送付のお願い
本文:「ご検討いただき、誠にありがとうございます。
商品資料の送付をよろしくお願いいたします。」
■社内メール(上司宛)
件名:企画書確認のお願い
本文:「添付の企画書をご確認いただけますよう、よろしくお願いいたします。」
■社内チャット(同僚宛)
「データ作成、よろしくお願いします。」
メールの場合は、状況や相手に応じて「いたします」を使い分けることで、より丁寧な印象を与えられます。
チャットの場合は、基本的に「します」で問題ありません。
対面・電話での使い分け例文
対面や電話では、その場の状況や雰囲気に応じた臨機応変な対応が必要です。
相手の立場や関係性、商談の進行度合いなどを考慮し、適切な表現を選択することが重要です。
【対面での例文】
■初対面の取引先との挨拶
「本日は、お時間をいただき、ありがとうございます。今後とも、よろしくお願いいたします。」
■社内会議での発言
「それでは、プレゼンテーションを始めさせていただきます。ご清聴、よろしくお願いいたします。」
【電話での例文】
■問い合わせ時
「ご多忙のところ恐れ入りますが、ご確認のほど、よろしくお願いいたします。」
■依頼時
「明日中の納品で、よろしくお願いできますでしょうか。」
対面や電話では、相手の反応を見ながら丁寧度を調整できます。
特に初対面や重要な商談では「いたします」を使用し、信頼関係構築を心がけましょう。
社内外での使い分けポイント
社内と社外では、求められる丁寧さのレベルが異なります。
社内では関係性に応じた柔軟な使い分けが可能ですが、社外では基本的により丁寧な表現を心がける必要があります。
- 社外は原則「いたします」を使用(取引先との初回商談)
- 社内上司へは状況に応じて使い分け(報告時は「いたします」)
- 同僚間は「します」で十分(日常的なやり取り)
- 部下への指示は「します」を基本(温かみのある表現)
- クライアントは常に「いたします」(信頼関係の維持)
ただし、これらは基本的な目安であり、具体的な状況や社風によって適切な表現は変わります。
相手との関係性や場の雰囲気を読み取り、柔軟に対応しましょう。
立場や状況による「よろしくお願いします」「いたします」の使い分け
相手との関係性や立場によって、適切な表現は大きく変わります。
ここでは具体的な状況別の使い分けを解説します。
上司・同僚への使い分け
社内での使い分けは、上下関係と案件の重要度で判断します。
特に上司への報告や重要な依頼の場面では、適切な敬語使用が信頼関係の構築につながります。
【上司への報告時】
■重要案件の場合
「プロジェクトの進捗についてご報告させていただきます。ご確認のほど、よろしくお願いいたします。」
■日常的な報告
「週次レポートを作成しました。ご確認をよろしくお願いします。」
【同僚とのやり取り】
■協力依頼時
「データ分析について、アドバイスをよろしくお願いします。」
■日常会話
「明日の会議資料、よろしくお願いします。」
上司への報告では案件の重要度に応じて使い分け、同僚との日常的なやり取りでは「します」を基本とすることで、自然な職場コミュニケーションが実現できます。
取引先・顧客への使い分け
取引先や顧客とのコミュニケーションでは、基本的に「いたします」を使用します。
特に初回の商談や重要な契約時には、より丁寧な表現を心がける必要があります。
【取引先との商談】
■初回商談時
「本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。今後とも、よろしくお願いいたします。」
■継続取引時
「引き続き、ご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。」
【顧客対応】
■問い合わせ対応
「ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談いただけますよう、よろしくお願いいたします。」
取引先との関係性が深まっても、基本的な丁寧さは維持します。
ただし、過度な敬語使用は避け、状況に応じて適切な距離感を保ちましょう。
「よろしくお願いします」「いたします」の基本的な違い
この表現の違いを理解することで、適切な場面での使用が可能になります。
敬語レベルの違い
「いたします」は「します」の謙譲語で、より丁寧な表現です。
相手への敬意を示す必要がある場面や、フォーマルな状況で使用することで、適切な距離感を保てます。
- 丁寧度の違いが明確(いたします>します)
- 謙譲語としての性質を理解(自分の行動を低める)
- 使用頻度の適切な判断(過剰使用に注意)
- 場面による使い分けの重要性(TPOを考慮)
- 相手との関係性考慮(距離感の表現)
過度な使用は逆効果となる場合もあります。
状況を見極めて、適切なレベルの敬語を選択することが重要です。
フォーマル度の違い
「よろしくお願いいたします」は、より改まった場面や公式な状況で使用します。
一方、「よろしくお願いします」は、日常的なビジネスシーンで広く使用される表現です。
- 公式文書での使用(いたしますを推奨)
- 日常会話での使用(状況に応じて選択)
- 文書の性質による判断(内容の重要度)
- 相手の立場による選択(役職や関係性)
- 場の雰囲気への配慮(フォーマル度)
状況のフォーマル度を見極め、適切な表現を選択することで、スムーズなコミュニケーションが実現できます。
「よろしくお願いします」「いたします」のNG例と改善方法
適切な使用のために、典型的な間違いとその改善方法を確認しましょう。
よくある間違い事例
不適切な使用は、相手に違和感を与え、ビジネスにおける信頼関係を損なう可能性があります。
特に多いミスとその具体的な修正例を見ていきましょう。
【NG例と改善例】
■取締役への報告メール
NG:「確認よろしくお願いします。」
OK:「ご確認のほど、よろしくお願いいたします。」
■クライアントへの依頼メール
NG:「明日までによろしくお願いします!」
OK:「明日までにご対応いただけますよう、よろしくお願いいたします。」
■社内での会議終了時
NG:「では、よろしくお願いいたします。」(過剰な敬語)
OK:「では、よろしくお願いします。」
過度なカジュアル表現や不必要な敬語使用を避け、状況に応じた適切な表現を選択することが重要です。
状況別改善例
場面や状況によって適切な表現は変わります。
以下に、よくある状況での改善例を示し、より自然なコミュニケーションを実現する方法を解説します。
- 急ぎの依頼は丁寧に(焦っても敬語は維持)
- 謝罪時は特に丁寧に(誠意を示す)
- 定型文は見直しを(慣例的な使用を避ける)
- 文末は適切に(「!」などは避ける)
- 前後の文脈との調和(一貫性を保つ)
状況に応じた適切な表現の選択が、スムーズなビジネスコミュニケーションの鍵となります。
「よろしくお願いします」「いたします」の応用フレーズ
基本表現をさらに発展させ、状況に応じた効果的な表現方法を紹介します。
丁寧度を上げる言い換え例
基本表現に言葉を追加することで、より丁寧な印象を与えることができます。
特に重要な案件や謝罪の場面では、これらの応用表現が効果的です。
【丁寧度別フレーズ集】
■最も丁寧
「何卒よろしくお願い申し上げます」
「謹んでお願い申し上げます」
■より丁寧
「ご検討のほど、よろしくお願いいたします」
「お取り計らいのほど、よろしくお願いいたします」
■標準的
「よろしくお願いいたします」
「ご確認のほど、よろしくお願いします」
過度に丁寧な表現は、かえって違和感を与える可能性があります。
相手や状況に応じて適切なレベルを選択しましょう。
場面別バリエーション
状況に応じて表現を変えることで、より適切なコミュニケーションが可能になります。
以下に、代表的な場面での効果的な表現例を示します。
【シーン別表現例】
■契約締結時
「今後ともお引き立てのほど、よろしくお願いいたします」
■プロジェクト開始時
「円滑な進行のため、ご協力のほど、よろしくお願いいたします」
■お詫び時
「改善に向けて努めてまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます」
場面に応じた適切な表現を選ぶことで、より効果的なコミュニケーションが実現できます。
「よろしくお願いします」「いたします」使用時の注意点
適切な使用のために、避けるべき状況と代替表現について解説します。
使用を避けるべきシーン
状況によっては、この表現の使用が不適切となる場合があります。
特に緊急時や重要な謝罪の場面では、より具体的な表現を選択する必要があります。
- 緊急対応が必要な場面(具体的な依頼を優先)
- 深刻な謝罪時(より誠意のある表現を使用)
- フォーマルすぎる場面(堅苦しさを避ける)
- 既に合意済みの事項(重複した依頼を避ける)
- クレーム対応時(より具体的な対応を示す)
形式的な使用は避け、状況に応じた適切な表現を選択することで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
より適切な代替表現
状況によっては、「よろしくお願いします」の代わりに、より具体的な表現を使用することで、意図が明確に伝わります。
【代替表現例】
■緊急時
「至急ご対応をお願いいたします」
■謝罪時
「今後このような事態が発生しないよう、改善に努めます」
■確認依頼時
「ご都合の良いタイミングでご確認ください」
■進捗報告時
「引き続き案件を進めてまいります」
状況に応じて適切な代替表現を選ぶことで、より明確で効果的なコミュニケーションが実現できます。
まとめ
「よろしくお願いします」「いたします」の使い分けは、ビジネスコミュニケーションの基本です。
相手との関係性、状況の重要度、フォーマル度に応じて適切な表現を選択することが重要です。
特に以下の3点を意識しましょう。
- 取引先や上司には原則「いたします」を使用
- 同僚との日常的なやり取りは「します」で十分
- 過度な使用は避け、状況に応じて代替表現も活用
これらの原則を踏まえ、適切なコミュニケーションを心がけることで、ビジネスパーソンとしての信頼性を高めることができます。
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よくある質問(FAQ)
「よろしくお願いします」「いたします」の使用に関して多く寄せられる質問とその回答をまとめました。
これらの回答を参考に、適切な使い分けを実践してください。
Q1:メールの件名で「よろしくお願いします」は使用してもよいですか?
A:件名での使用は避けましょう。
件名は用件を簡潔に示し、「確認依頼」「資料送付」など具体的な内容を記載します。
Q2:「いたします」を多用すると丁寧すぎますか?
A:はい。過度な使用は不自然な印象を与えます。
特に社内での日常的なやり取りでは、「します」で十分です。
Q3:海外のビジネスパートナーへの英語メールでの相当表現は?
A:”Thank you in advance”や”Your assistance would be appreciated”が一般的です。
ただし、多用は避けましょう。
Q4:チャットツールでも「いたします」を使うべきですか?
A:基本的に「します」で問題ありません。
ただし、重要な依頼や上司とのやり取りでは「いたします」も適切です。
Q5:新入社員ですが、「よろしくお願いします」は使いすぎでしょうか?
A:基本的な敬語として適切です。
ただし、同じ相手に繰り返す場合は、時に「承知しました」など具体的な返答も使いましょう。
Q6:謝罪時の「よろしくお願いいたします」は適切ですか?
A:謝罪時は「申し訳ございませんでした」に続けて、具体的な改善策を述べる方が適切です。
Q7:取引先との会食後の挨拶では、どちらを使うべきですか?
A:「本日は、ありがとうございました。今後とも、よろしくお願いいたします」が適切です。
Q8:社内プレゼンの締めの言葉として使用してもよいですか?
A:「ご清聴ありがとうございました」で十分です。
必要に応じて「ご意見・ご質問をよろしくお願いいたします」を追加できます。