敬語は相手に対する尊敬を表現するために用いられる言葉ですが、その使用が複雑であるため、間違いが生じやすいものです。
この記事では、日常や職場でよく見られる敬語の使い方の誤りに焦点を当て、それぞれの事例を通じて説明していきます。
これにより、皆さんがより正確な言葉遣いへと改善する手助けができることを目指します。
敬語の間違いで、ついやりがちな5つの具体例
「お」「ご」の誤用
「お」と「ご」を付けることにより礼儀正しい表現になると誤解して、これらの接頭語を不適切に用いるケースが頻繁にあります。
たとえば、「お終わりです」と言う表現をしばしば聞きますが、これは間違いで、「終わりです」と表現するのが正確です。
「終わる」という動詞には「お」を付けるべきではありません。
また、「ご説明いたします」というフレーズも一般的ですが、自己の行動を示す際に「ご」を使用するのは不適切です。
「説明いたします」と言うのが適正です。
謙譲語の使い方の誤り
謙譲語を使用しようとするものの、時には不自然な言い回しになることがあります。
例えば、「私はそのようには存じません」という表現を耳にすることがありますが、これは正しくありません。
「存じる」は「知る」の謙譲語であり、否定する場合は「存じあげません」と表現するのが適切です。
さらに、「お客様に伺います」というフレーズも誤りがあります。
「伺う」は「行く」「聞く」の謙譲語として使われますが、この文脈では「聞く」の意味で使われているため、「お客様にお聞きします」と言うのが正確です。
尊敬語と謙譲語の取り違え
尊敬語と謙譲語の混同による間違いもしばしば見受けられます。
例として、「先生にご指導させていただきました」という言葉を聞くことがありますが、これは間違っています。
「ご指導する」は尊敬語であって、自分の行動に用いる表現ではなく、正しい使い方は「先生に指導していただきました」です。
また、逆の誤りとして、「お客様がご来店なさいました」という言葉も不適切です。
「ご来店する」は謙譲語で、お客様の行動に対しては使用できません。
ここでは「お客様がいらっしゃいました」と表現するのが正確です。
丁寧語の不適切な使用
丁寧語を過度に使うことで、不自然なかたちで表現してしまうことがあります。
例えば、「お客様のお名前をお聞かせいただけますでしょうか」というフレーズは、丁寧すぎて冗長に感じられます。
ここでは「お客様のお名前を伺えますか」と言うだけで、適切な丁寧さが保たれます。
また、「こちらのお商品はいかがでしょうか」という言い回しも一般的ですが、商品に「お」を付ける必要はなく、「こちらの商品はいかがでしょうか」と簡潔に表現する方が自然です。
外来語への不適切な敬語の使用
外来語に対して不適切に敬語を使用してしまう例も見られます。
たとえば、「お客様、ご注文のおコーヒーでございます」という表現を聞くことがありますが、「コーヒー」に「お」をつける必要はありません。
「お客様、注文のコーヒーでございます」が適切です。
同様に、「メールを拝見させていただきました」という表現もよく使われますが、「メール」に対して「拝見する」という尊敬語を使うのは違和感があります。
「メールを確認いたしました」程度で十分です。
まとめ
敬語の間違いは、使用頻度の高い表現ほどついやりがちです。
本記事で紹介した例は、多くの人が無意識のうちに犯してしまいがちな間違いばかりです。
これらの間違いを意識し、正しい敬語の使い方を心がけることで、より適切なコミュニケーションが可能になるでしょう。
敬語は難しいものですが、日々の会話の中で少しずつ改善していくことが大切です。
正しい敬語の使用は、相手への敬意を適切に表現するだけでなく、自分自身の言葉遣いの洗練さも示すことができます。