「承知いたしました」は、ビジネスメールや日常のやりとりで頻出する敬語表現ですが、「本当に正しいの?」「他の表現とどう違うの?」といった疑問を感じたことはありませんか?
特に「かしこまりました」や「了承しました」との違いに悩んだ経験がある方も多いでしょう。
本記事では、「承知いたしました」の意味や使い方はもちろん、類語との違いや正しい使い分け、NG例、実用例文まで網羅的に解説します。
社内メール・取引先との連絡・電話対応など、あらゆるシーンで自信を持って使えるように、テンプレートやチェックリスト形式で分かりやすくまとめました。
「承知いたしました」の使い方に迷ったら、この1記事で全て解決します。
この記事で分かること
- 「承知いたしました」が正しい敬語かどうか
- 「かしこまりました」「了承しました」との使い分け
- シーン別の適切な使い方と例文集
- よくある間違いとNG例の回避法
「承知いたしました」は正しい敬語?意味と基本的な使い方
結論から言うと、「承知いたしました」は正しい謙譲語です。
「承知」+「いたす(謙譲語)」+「ました(丁寧語の過去形)」の組み合わせで、相手の話や依頼を理解・了解したことを謙譲的に表現しています。
「承知いたしました」の基本的な意味
- 理解・了解:相手の話を理解したという意味
- 受諾・同意:依頼や提案を受け入れるという意味
- 認識:状況や情報を把握したという意味
使える基本的な場面
上司からの指示を受けたとき
承知いたしました。すぐに取りかかります。
取引先からの依頼があったとき
承知いたしました。詳細をご連絡いたします。
会議での決定事項を確認するとき
承知いたしました。そのように進めさせていただきます。
なぜビジネスシーンで重要なのか
「承知いたしました」は単なる返事ではなく、責任を持って対応する意志を示す表現です。
相手に「確実に理解し、適切に対応します」というメッセージを伝えられます。
「承知いたしました」と類似表現の違い|正しい使い分けを解説
主要な類似表現との比較表
表現 | 敬語レベル | 使える相手 | ニュアンス | 適用場面 |
---|---|---|---|---|
承知いたしました | ★★★ | 上司・取引先 | 理解+責任感 | 重要な依頼・指示 |
かしこまりました | ★★★ | 上司・取引先 | 謙譲+従順 | 格式高い場面 |
了承しました | ★★☆ | 同僚・部下 | 同意・許可 | 対等な立場での合意 |
分かりました | ★☆☆ | 社内・親しい関係 | 理解 | カジュアルな確認 |
承りました | ★★★ | 取引先・顧客 | 受領・受諾 | 注文・依頼の受付 |
「承知いたしました」vs「かしこまりました」
承知いたしました
- 理解・了解のニュアンスが強い
- ビジネス全般で使いやすい
- 現代的で自然な響き
かしこまりました
- より謙譲的で恭順なニュアンス
- 格式高い場面や接客業で好まれる
- やや古風で丁寧な印象
使い分けの例:
- 社内会議:「承知いたしました」
- 重要顧客への対応:「かしこまりました」
「承知いたしました」vs「了承しました」
承知いたしました
- 自分が下の立場から使う謙譲語
- 相手への敬意を示す
- 上司・取引先に適切
了承しました
- 対等または上の立場から使う
- 許可・同意のニュアンス
- 部下・対等な相手に適切
重要な注意点: 目上の人に「了承しました」は失礼にあたるので要注意です。
🟢 〈参考例文です。貴社の慣例に合わせて調整してご利用ください〉
📋 使い分け診断チェックリスト|5秒で選べる!最適な敬語はどれ?
以下の質問に答えるだけで、「承知いたしました」「かしこまりました」「了承しました」のどれを使うべきか一目でわかります。
質問 | YES | NO |
---|---|---|
相手は上司や取引先など目上の人ですか? | ▶ 承知いたしました/かしこまりました | ▶ 了承しました/分かりました |
フォーマルなメールや提案に対する返答ですか? | ▶ かしこまりました | ▶ 承知いたしました |
相手の依頼・指示に対して明確に責任を示したいですか? | ▶ 承知いたしました | ▶ 了承しました |
接客やサービス業など格式のある場面ですか? | ▶ かしこまりました | ▶ 承知いたしました |
相手が部下や社内の後輩ですか? | ▶ 了承しました/分かりました | ▶ 承知いたしました(※上司の場合) |
💡 診断結果の活用方法
「承知いたしました」が最適なケース
- 一般的なビジネスシーンで万能
- 責任感を示したい重要な依頼
- 現代的で自然な響きを重視
「かしこまりました」が最適なケース
- 格式高い場面や初回の重要顧客
- 接客業やサービス業での対応
- より謙譲的な印象を与えたい場合
「了承しました」が最適なケース
- 同僚や部下との対等なやりとり
- 社内のカジュアルな確認事項
- 自分が許可・同意する立場の場合
👉 チェック結果を参考に、使い分け表でもう一度確認してみましょう!
シーン別「承知いたしました」の使い方と例文集
📧 ビジネスメールでの使い方
件名例:
- 【承知いたしました】○○の件について
- ○○の件 承知いたしました
- 【対応完了予定】○○について承知いたしました
基本的なメール文例:
パターン1:指示を受けた場合
いつもお世話になっております。
ご指示の件、承知いたしました。 ○月○日までに対応し、完了次第ご報告申し上げます。
何かご不明な点がございましたら、お気軽にお声がけください。
パターン2:会議の決定事項を確認する場合
本日の会議の件、承知いたしました。
決定事項を以下に整理いたします: ・○○の件:△月△日まで ・□□の件:来週中に報告
上記の理解で間違いございませんでしょうか。
パターン3:変更・修正の依頼を受けた場合
修正のご指示、承知いたしました。
ご指摘の箇所を修正し、明日の午前中には 修正版をお送りいたします。
📞 電話・対面での使い方
電話での基本パターン:
承知いたしました。確認の上、折り返しお電話いたします。
承知いたしました。資料をお送りいたします。
会議・打ち合わせでの使い方:
承知いたしました。そのように進めさせていただきます。
承知いたしました。来週までに準備いたします。
急ぎの依頼への対応:
承知いたしました。至急対応いたします。
👔 上司への対応例文
指示を受けたとき:
承知いたしました。優先的に対応いたします。
報告・相談への返答:
ご指導いただき、ありがとうございます。承知いたしました。
スケジュール調整:
承知いたしました。○月○日の△時からで調整いたします。
🤝 取引先への対応例文
提案への回答:
ご提案いただいた件、承知いたしました。 社内で検討の上、来週中にご回答申し上げます。
契約・取引条件の確認:
条件につきまして承知いたしました。 契約書の準備を進めさせていただきます。
納期・仕様の変更:
変更のご依頼、承知いたしました。 調整可能か確認し、明日までにご連絡いたします。
🟡 〈具体運用前に貴社の業務慣例をご確認ください〉
「承知いたしました」のNG例・間違いやすい表現と正しい使い方
【実体験】よくある失敗パターンと改善例
読者のよくある失敗例
「了承いたしました」を上司に使って「敬語の使い方が間違っている」と指摘された経験がある人は意外と多いものです。
企業研修で実際に指導されている表現:
承知いたしました。責任を持って対応させていただきます。
この表現は、理解→責任→行動の意志を一文で示している点で高く評価され、多くの企業研修で推奨されています。
❌ よくある間違いパターン
1. 二重敬語
- ❌ 承知いたさせていただきました
- ⭕ 承知いたしました
- ❌ ご承知いたしました
- ⭕ 承知いたしました
2. 不適切な相手への使用
- ❌ 部下に「承知いたしました」
- ⭕ 部下に「了解しました」「分かりました」
3. 曖昧な返答
- ❌ 承知いたしました(具体的な行動が不明)
- ⭕ 承知いたしました。○日までに対応いたします
4. 過度な繰り返し
- ❌ 承知いたしました。承知いたしました。
- ⭕ 承知いたしました。かしこまりました。
5. 不適切な場面での使用
- ❌ お悔やみの場面で「承知いたしました」
- ⭕ お悔やみの場面では「承りました」
🔍 使用前チェックポイント
- 相手との関係性は適切か
- 目上の人→⭕ 同僚→△ 部下→❌
- 具体的な行動を示しているか
- 期限や方法を明示
- 場面に適した表現か
- 格式高い場面なら「かしこまりました」も検討
- 二重敬語になっていないか
- 「ご〜いたしました」は要注意
- 相手の立場に配慮しているか
- 感情的な内容には慎重に対応
よくある質問(FAQ)
Q1:「承知いたしました」と「承知しました」どちらが正しい?
A: どちらも文法的には正しいですが、丁寧さが異なります。
- 「承知いたしました」:より丁寧な謙譲語表現
- 「承知しました」:基本的な敬語表現
ビジネスシーンでは「承知いたしました」の方が安全で、特に重要な場面や初回の相手には推奨されます。
Q2:メールで「承知いたしました」だけで返信するのは失礼?
A: 内容によっては簡潔すぎる場合があります。
改善例:
- ❌ 承知いたしました。
- ⭕ 承知いたしました。○日までに対応し、完了次第ご報告申し上げます。
具体的な行動や期限を併せて伝えると相手に安心感を与えられます。
Q3:「承知いたしました」を英語で言うと?
A: 以下のような表現が使えます。
- I understand(理解いたしました)
- I’ll take care of it(対応いたします)
- Noted(承知いたしました)※カジュアル
- I acknowledge your request(ご依頼を承知いたしました)
Q4:「承知いたしました」と「分かりました」の使い分けは?
A: 相手との関係性と場面の格式で使い分けます。
相手 | 推奨表現 | 理由 |
---|---|---|
上司・取引先 | 承知いたしました | 謙譲語で敬意を示す |
同僚 | 承知いたしました/分かりました | 関係性により選択 |
部下 | 分かりました/了解しました | 対等な表現が自然 |
Q5:電話で「承知いたしました」と言った後、何と続ければ良い?
A: 具体的な行動を示すフォロー文が効果的です。
パターン例:
- 承知いたしました。確認の上、折り返しお電話いたします
- 承知いたしました。資料を準備してお送りいたします
- 承知いたしました。○時頃お伺いいたします
Q6:「承知いたしました」を使ってはいけない場面は?
A: 以下のような場面では注意が必要です。
- お悔やみ・弔事:「承りました」がより適切
- 謝罪を受ける場面:「恐れ入ります」などが自然
- 部下への指示:「了解しました」で十分
- 感情的な内容:共感を示す表現を優先
まとめ:「承知いたしました」を正しく使い分けてビジネススキルを向上
「承知いたしました」は正しい謙譲語として、ビジネスシーンで安心して使えます。
ただし、相手やシーンに応じて適切な表現を選ぶことで、より良いコミュニケーションが図れます。
今日から実践できること
- 相手に応じた使い分け
- 上司・取引先:「承知いたしました」
- 同僚:場面に応じて選択
- 部下:「了解しました」「分かりました」
- 具体的な行動の明示
- 「承知いたしました。○日までに対応いたします」
- 期限や方法を併せて伝える
- 場面に応じた表現選択
- 格式高い場面:「かしこまりました」
- 一般的なビジネス:「承知いたしました」
- カジュアル:「分かりました」
- フォロー文で丁寧さをプラス
- 単体で使わず、具体的な対応を併記
関連記事
✅ 次におすすめの読み物はこちら:
敬語の基本をマスターしたい方向け
ビジネスコミュニケーションを向上したい方向け
職場での敬語全般を学びたい方向け
- 「お疲れさまです」の正しい使い方|社内外での使い分けルール