「添付いたしました」は、ビジネスメールでよく使う表現ですが、毎回同じ言い回しを使っていませんか?
状況や相手によって表現を変えることで、より丁寧で印象の良いメールが作成できます。
本記事では、「添付いたしました」の代替表現や使い分けのポイントを解説します。
この記事でわかること
- 「添付いたしました」の適切な代替表現
- シーン別の使い分けポイント
- 添付忘れを防ぐビジネスメールテクニック
- 添付ファイルの送り方のマナー
- 相手に伝わりやすい添付ファイルの案内方法
さっそく、ビジネスシーンですぐに使える例文から見ていきましょう。
すぐに使える「添付いたしました」の代替表現例文
メールに添付ファイルを付ける際、「添付いたしました」以外にも多くの表現があります。
ここでは、すぐに使える代替表現を紹介します。
敬語表現パターン
1. 「別添にてお送りいたします」
2. 「添付ファイルにてご確認ください」
3. 「資料を添えてお送りいたします」
4. 「ファイルを添付してお送りいたしました」
5. 「別紙として添付しております」
6. 「添付データをご参照ください」
7. 「お求めの資料を添付いたしました」
8. 「ご依頼の書類を添えております」
間違いやすいポイント
添付という言葉を使わずに「別添」「別紙」などの表現を使う場合は、実際にファイルが添付されているか送信前に必ず確認しましょう。
特に「別添にてお送りいたします」という表現は、本文とは別に送るという意味にも取られかねないため、メールに確実に添付する場合にのみ使用してください。
ビジネスシーン別パターン
【上司への報告】
「ご依頼いただいた先月の売上レポートを添付いたしましたので、ご確認をお願いいたします。」
【取引先への提案】
「弊社のご提案内容を詳細にまとめた資料を添付しております。ぜひご検討いただければ幸いです。」
【社内連絡】
「来週の会議資料を添付しました。事前にご一読ください。」
【お詫びメール】
「先ほどのメールに添付が漏れておりました。改めて資料を添付してお送りいたします。大変失礼いたしました。」
シーン別の適切な表現と例文
ビジネスシーンによって添付ファイルの案内方法は変わります。ここではシーン別の例文を紹介します。
シーン別に適切な表現を選ぶことで、プロフェッショナルな印象を与えることができます。
初めての取引先に送る場合
件名:【株式会社〇〇】商品カタログのご送付
本文:
株式会社〇〇
営業部 山田様
お世話になっております。株式会社△△の佐藤でございます。
先日はお打ち合わせの時間をいただき、誠にありがとうございました。
本メールに弊社の最新商品カタログを添付させていただきます。
ご検討の際にお役立ていただければ幸いです。
具体例
初めての取引先には「添付させていただきます」という謙譲表現を使うことで、より丁寧な印象を与えられます。
また、添付ファイルの内容や目的も明記しましょう。
間違いやすいポイント
初めての取引先に対して「添付しました」など簡素な表現を使うと、失礼な印象を与える可能性があります。
また、添付ファイルの説明が不足していると、相手に確認の手間をかけてしまいます。
社内メールでの使い分け
社内メールでは、相手との関係性に応じた適切な表現を選ぶことが重要です。
同僚へのメール
件名:来週のプロジェクト会議資料
本文:
田中さん
お疲れ様です。佐藤です。
来週のプロジェクト会議で使用する資料を添付しました。
事前に目を通しておいてもらえると助かります。
何か質問があれば連絡してください。
上司へのメール
件名:【ご確認依頼】月次報告書
本文:
部長
お世話になっております。営業部の佐藤です。
ご依頼いただいた今月の月次報告書を添付いたしました。
特に3ページ目の新規顧客獲得状況についてご確認いただければ幸いです。
ご不明点などございましたら、ご指示ください。
具体例
上司への報告では「添付いたしました」や「添えてお送りいたします」など敬語表現を使い、同僚には「添付したよ」「添付しておいたので」など親しみやすい表現を選ぶとよいでしょう。
間違いやすいポイント
上司に対して友人のような砕けた表現を使うことは避けましょう。
逆に、親しい同僚に対して過度に丁寧な表現を使うと距離を感じさせてしまう場合もあります。
クライアントへの報告メール
件名:【株式会社〇〇様】プロジェクト進捗報告
本文:
株式会社〇〇
マーケティング部 田中様
いつもお世話になっております。株式会社△△の佐藤でございます。
現在進行中のウェブサイトリニューアルプロジェクトの進捗報告書を
添付ファイルにてお送りいたします。
特に2ページ目のデザイン案について、ご意見をいただけますと幸いです。
ご多忙のところ恐縮ではございますが、週末までにご確認いただけますよう
お願い申し上げます。
具体例
クライアントへの報告では、「添付ファイルにてお送りいたします」「添えてお届けいたします」など格式高い表現を使うと良いでしょう。
添付ファイルの内容についても具体的に説明し、必要なアクションを明確に伝えることが重要です。
間違いやすいポイント
クライアントに対して「添付しました」など簡素な表現を使うと、誠意が伝わりにくくなります。
また、添付ファイルについて「ご確認ください」だけでは不十分で、確認して欲しいポイントや期限を明示しましょう。
「添付」に関する敬語表現の基本
「添付」に関する敬語表現には基本的なルールがあります。
ここでは正しい敬語表現の使い方を解説します。
基本的な敬語パターン
・普通の表現:「添付する」「添付した」
・丁寧語:「添付します」「添付しました」
・謙譲語:「添付いたします」「添付いたしました」「添付させていただきます」
具体例
「添付いたしました」は謙譲語の一種で、自分の行為を謙虚に表現する敬語です。
「添付させていただきました」はさらに丁寧な表現となります。
例えば、重要な取引先には「ご依頼いただいた資料を添付させていただきました」と表現すると良いでしょう。
間違いやすいポイント
「添付しております」は現在進行形の表現で、「今、この瞬間に添付している途中」という意味になるため、メールを送る時点では「添付いたしました」や「添付しております」を使うのが正確です。
また、「添付致しました」の「致」は常用漢字ですが、ビジネスメールでは「いたしました」とひらがなで書くのが一般的です。
「添付」に関連する動詞の活用
・送付する → 送付いたします、送付申し上げます
・同封する → 同封いたします、同封させていただきます
・お送りする → お送りいたします、お送り申し上げます
具体例
「添付」以外にも「送付」「同封」「お送り」などの表現があります。
例えば「請求書を同封いたします」「カタログをお送り申し上げます」などと使い分けることで表現に幅が生まれます。
間違いやすいポイント
「送付します」を敬語にする際に「ご送付します」とするのは誤用です。
「送付」は自分の行為を表すため「送付いたします」が正しい敬語表現となります。
また、「送らせていただきます」という表現は過剰な敬語として違和感を与える場合があります。
状況別の添付ファイル案内の使い分け
添付ファイルの内容や目的によって、案内の仕方を変えると効果的です。
ここでは状況別の使い分けを解説します。
資料を共有する場合
「会議で使用する資料を添付いたしましたので、事前にご確認ください。」
「プロジェクトの概要資料を添付いたしました。ご参考になれば幸いです。」
具体例
資料共有の場合は、その資料の使用目的を明確にすると良いでしょう。
「来週の会議で使用する予定の企画書を添付いたしました。事前にご一読いただき、ご意見をいただければ幸いです。」のように具体的に伝えると相手も対応しやすくなります。
間違いやすいポイント
単に「資料を添付しました」だけでは、相手がその資料で何をすべきか分かりません。
「ご確認ください」「ご意見をください」など、具体的なアクションを示すことが重要です。
契約書・請求書を送付する場合
「契約書のPDFを添付いたしました。内容をご確認の上、ご署名いただければ幸いです。」
「今月分の請求書を添付ファイルにてお送りいたします。」
具体例
重要書類の場合は、添付ファイルの形式も明記すると親切です。
「契約書(PDF形式)を添付いたしました。Adobe Readerなどで開いてご確認ください。ご不明点があればご連絡ください。」
間違いやすいポイント
契約書や請求書などの重要書類は、添付し忘れるとトラブルの原因になります。
また、パスワード保護が必要な場合は、その旨と開封方法も記載しましょう。
複数のファイルを添付する場合
「下記3点の資料を添付いたしましたので、ご確認をお願いいたします。
1. プロジェクト計画書
2. 予算案
3. スケジュール表」
具体例
複数のファイルを添付する場合は、添付ファイルの一覧と各ファイルの概要を箇条書きで記載すると分かりやすくなります。
「会議資料として以下3点のファイルを添付いたしました。事前にご確認ください。①議事次第.docx:会議の流れを記載しています。②企画書.pdf:プロジェクトの詳細内容です。③予算案.xlsx:予算の詳細です。」
間違いやすいポイント
複数のファイルを添付する際に単に「資料を添付しました」とだけ書くと、相手は各ファイルの内容や重要度が分かりません。
また、添付ファイル名が分かりにくいと混乱の原因になるため、ファイル名も分かりやすいものにしましょう。
添付ファイル案内文のアレンジ方法
基本の表現に少し工夫を加えることで、より丁寧で誠意のあるメールになります。
目的や内容を明確にする
「ご依頼いただいた先月の売上データを添付ファイルにてお送りいたします。」
「プロジェクト計画書(最終版)を添付いたしましたので、ご確認ください。」
具体例
添付ファイルの目的や重要なポイントを強調すると効果的です。
「ご依頼いただいた営業報告書を添付いたしました。特に3ページの新規顧客分析にご注目いただければ幸いです。」のように具体的に伝えると相手の理解が深まります。
間違いやすいポイント
添付ファイルの内容について説明不足だと、相手が適切に対応できない可能性があります。
また、「確認してください」という指示だけでは、何を確認すべきか分からない場合があります。
感謝や期待を表現する
「ご多忙のところ恐縮ではございますが、添付資料をご確認いただければ幸いです。」
「お手数をおかけしますが、添付の申込書にご記入いただけますと幸甚です。」
具体例
添付ファイルへの対応に感謝や期待を付け加えることで、より丁寧な印象になります。
「ご多忙中誠に恐縮ではございますが、添付の企画書についてご意見をいただけますと幸いです。皆様のご意見を反映して最終版を作成したいと考えております。」
間違いやすいポイント
「急ぎで確認してください」など、相手への配慮がない表現は避けましょう。
また、「ご確認のほど、よろしくお願いいたします」などの定型的な表現だけでなく、具体的な期待や感謝を伝えるとより誠意が伝わります。
ファイル形式や開き方を説明する
「請求書をPDF形式で添付いたしました。Adobe Readerなどでご確認ください。」
「設計図をJPEG形式で添付いたしましたので、画像ビューアーでご確認ください。」
具体例
特殊なファイル形式の場合は、開き方を説明すると親切です。
「設計データをCADファイル(.dwg形式)で添付いたしました。AutoCAD 2020以上で開くことができます。閲覧環境がない場合は、PDFへの変換も可能ですのでお申し付けください。」
間違いやすいポイント
相手の環境に合わないファイル形式で送ると、開けない可能性があります。
また、大きなファイルを添付する場合は、ファイルサイズにも言及し、ダウンロードに時間がかかる可能性があることを伝えましょう。
添付ファイルに関する注意点と失敗例
添付ファイルに関するトラブルを防ぐために、知っておくべき注意点と失敗例を紹介します。
添付忘れを防ぐ方法
・メール作成時に先に添付ファイルを付ける
・本文中に「添付」という単語を入れる
・送信前のチェックリストを作成する
具体例
多くのメールソフトには「添付」という単語が本文にあるのに添付ファイルがない場合に警告する機能があります。
また、「添付ファイル:企画書.pdf」のように本文中に添付ファイル名を明記する習慣をつけると添付忘れを防げます。
間違いやすいポイント
特に急いでいるときや複数のタスクを並行して行っているときに添付忘れが発生しやすくなります。
送信前に必ず添付ファイルを確認する習慣をつけましょう。
添付ファイルのサイズと形式
・大きなファイルはオンラインストレージを利用する
・画像は適切に圧縮する
・汎用的なファイル形式(PDFなど)を使用する
具体例
5MBを超えるような大きなファイルは、「大容量のファイルのため、Googleドライブにアップロードいたしました。下記リンクからダウンロードをお願いいたします。」などとクラウドストレージのリンクを案内するのがマナーです。
間違いやすいポイント
メールサーバーによっては添付ファイルのサイズ制限があり、大きすぎるファイルは相手に届かない場合があります。
また、圧縮ファイル(.zip、.rar)はセキュリティソフトでブロックされる可能性があるため、事前に相手に確認するとよいでしょう。
セキュリティ上の配慮
・個人情報を含むファイルはパスワード保護する
・機密情報はセキュアな方法で送信する
・パスワードは別の連絡手段で伝える
具体例
「個人情報を含むファイルのため、パスワードを設定しております。パスワードは別途SMSにてお送りいたします。」のように、セキュリティ対策について明記することで、相手に安心感を与えます。
間違いやすいポイント
パスワードを同じメールで送ると、セキュリティ対策の意味がなくなります。
また、「いつものパスワード」などの曖昧な表現も避け、具体的なパスワード通知方法を伝えましょう。
まとめ
「添付いたしました」の代替表現と適切な使い分けについて解説しました。
ポイントをまとめると以下のようになります。
- 状況に応じた表現を選ぶ:相手や目的に合わせて「添付いたしました」「添えてお送りいたします」「添付ファイルをご参照ください」など表現を変えましょう。
- 添付ファイルの説明を明確に:ファイルの内容、確認して欲しいポイント、期限などを明記すると相手に親切です。
- 複数ファイルは一覧化:複数のファイルを添付する場合は、一覧と各ファイルの概要を記載すると分かりやすくなります。
- 添付忘れに注意:送信前の確認を習慣化し、添付忘れを防ぎましょう。
- セキュリティへの配慮:個人情報や機密情報を含むファイルは適切に保護し、その方法を相手に伝えましょう。
ビジネスメールにおける「添付いたしました」の表現は、ちょっとした工夫で相手に与える印象が大きく変わります。
状況に応じた適切な表現を選び、プロフェッショナルなコミュニケーションを心がけましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1:「添付いたしました」と「添付しております」の違いは何ですか?
A1:「添付いたしました」は過去形で、すでに添付完了した状態を表します。
「添付しております」は現在進行形で、現在添付している状態を表しますが、メール送信時点では添付は完了しているため、「添付いたしました」の方が正確です。
ただし、ビジネスシーンでは両方とも広く使われています。
Q2:添付ファイルを忘れた場合、どのように対応すべきですか?
A2:添付忘れに気づいたらすぐに再送する必要があります。
件名に「【添付あり】再送:」などと明記し、本文には「先ほどのメールに添付ファイルが漏れておりました。大変失礼いたしました。改めて添付してお送りいたします。」などとお詫びの言葉を添えましょう。
Q3:大きなファイルを送る場合の適切な方法は?
A3:一般に5MB以上のファイルはメール添付ではなく、オンラインストレージ(GoogleドライブやDropboxなど)を利用するのがマナーです。
「ファイルサイズが大きいため、以下のリンクからダウンロードをお願いいたします」と案内しましょう。
Q4:英語のビジネスメールで「添付いたしました」はどう表現すべきですか?
A4:英語では “Please find attached~” や “I have attached~” が一般的です。
例えば “Please find attached the proposal document for your review.” や “I have attached the requested files for your reference.” などと表現できます。
Q5:社内メールでも「添付いたしました」という敬語表現を使うべきですか?
A5:社内メールでは相手との関係性によって使い分けるとよいでしょう。
上司や先輩には「添付いたしました」など敬語表現を使い、同僚や後輩には「添付しました」「添付したので確認してください」などカジュアルな表現でも問題ありません。
Q6:契約書など重要書類を添付する際の注意点はありますか?
A6:重要書類を添付する際は、①ファイル形式(PDF推奨)②パスワード保護の有無③確認期限④確認後のアクション(署名・返送など)を明記するとよいでしょう。
また、重要書類は添付忘れがないよう特に注意が必要です。