敬語は日本語の重要な要素ですが、その複雑さゆえに多くの人が間違いを犯しがちです。
本記事では、日常生活やビジネスシーンでよく見られる敬語の間違いについて、具体例を挙げながら解説します。
これらの例を知ることで、自分の言葉遣いを見直すきっかけになるでしょう。
敬語の間違いあるある4つの具体例を紹介
二重敬語の使用
最もよく見られる敬語の間違いの一つが二重敬語です。
これは、すでに敬意を含む言葉にさらに敬語を重ねてしまう誤りです。
例えば、「部長様がご出席になられます」という表現がよく聞かれます。
しかし、「ご出席になる」自体が尊敬語であるため、「られる」を加える必要はありません。
正しくは「部長様がご出席になります」です。
同様に、「お客様がお召し上がられました」も二重敬語です。
「お召し上がる」だけで十分敬意を表せるため、「お客様がお召し上がりました」が正しい表現となります。
このような二重敬語の使用は、話者の敬語に対する不安や過剰な丁寧さへの意識から生じることが多いですが、かえって不自然な印象を与えてしまう可能性があります。
謙譲語と尊敬語の混同
謙譲語は自分や自分側の行為を低めて表現する言葉ですが、相手の行為に使ってしまう間違いがよく見られます。
たとえば、「部長はこちらで拝見しております」という表現を耳にすることがあります。
しかし、「拝見する」は謙譲語であり、目上の人の行為に使うのは適切ではありません。
正しくは「部長はこちらでご覧になっています」や「部長はこちらでご覧です」となります。
反対に、「私がお客様にご案内いたします」という表現も間違いです。
「ご案内する」は本来相手の行為に使う尊敬語ですので、自分の行為には使えません。
正しくは「私がお客様を案内いたします」です。
このような謙譲語と尊敬語の混同は、敬語の複雑さゆえによく起こる間違いですが、相手との関係性や文脈を適切に把握し、正しい使い方を心がけることが大切です。
丁寧語の過剰使用
丁寧語を使いすぎることで、かえって不自然な印象を与えてしまう例もあります。
例えば、「お靴をお預かりいたします」という表現を旅館やホテルなどで聞くことがありますが、これは過剰な丁寧表現です。
靴に敬意を払う必要はないので、単に「靴をお預かりいたします」で十分です。
同様に、「お部屋にはお荷物をお持ちいたしましたでしょうか」も過剰な丁寧表現です。
「部屋に荷物をお持ちいたしましたか」で十分丁寧さが伝わります。
このような過剰な丁寧表現は、相手への配慮から生じることが多いですが、かえって違和感を与えたり、意図が伝わりにくくなったりする可能性があります。
状況に応じた適切な丁寧さを心がけることが大切です。
敬語と一般語の不自然な組み合わせ
敬語と一般語を不自然に組み合わせてしまう間違いもよく見られます。
例えば、「部長が存じております」という表現がありますが、「存じる」は謙譲語であり、目上の人の行為には使えません。
正しくは「部長がご存じです」です。
また、「お客様がいらっしゃったと言ってください」という表現も不自然です。
同じ文の中で敬語と一般語が混在しているためです。
「お客様がいらっしゃったとお伝えください」とするのが適切です。
このような敬語と一般語の不自然な組み合わせは、敬語の使用に不慣れな場合や、文全体の一貫性を意識せずに言葉を選んでしまった場合に起こりやすい間違いです。
文全体のバランスを考えながら、適切な言葉遣いを心がけることが重要です。
まとめ
敬語の間違いは、日本語を母語とする人でもよく犯してしまうものです。
本記事で紹介した例は、日常生活やビジネスシーンでよく見られるものばかりです。
これらの間違いを意識し、正しい敬語の使い方を心がけることで、より洗練されたコミュニケーションが可能になるでしょう。
敬語は難しいものですが、少しずつ正しい使い方を学んでいくことが大切です。