ビジネスメールで「と思います」「と考えます」「と存じます」の使い分けに悩んだことはありませんか。
実は、これらの表現の使い方一つで、ビジネス文書の印象が大きく変わります。
特に取引先とのやり取りや企画書の提出など、重要な場面では適切な表現の選択が成否を分けることも。
この記事では、シーン別の具体例と実践的なテンプレートで、迷わない使い分け方をご紹介します。
この記事でわかること
- 基本的な「と思います/考えます/存じます」表現の使い分けルール
- シーン別の適切な表現選択方法
- 上司・クライアント別の使用例
- よくある失敗パターンと対処法
- 実務で即使えるテンプレート集
メールや文書で適切な表現が選べないと、ビジネスでの印象が大きく下がってしまいます。
この記事で、状況に応じた正しい使い分けを身につけましょう。
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すぐに使える「と思います・考えます・存じます」例文集
ビジネスシーンで即活用できる例文をご用意しました。
相手や状況に応じた使い分けのポイントも解説していますので、自分のケースに近い例文を参考に、適切な表現を選択してください。
社内メール向け例文
社内メールでは、相手との関係性や案件の重要度によって使い分けが必要です。
特に上司や他部署とのやり取りでは、適度な丁寧さを保ちながら、明確な意思表示が求められます。
■一般社員同士の場合
「企画書の修正が必要だと思います」
「来週の会議は15時からが良いと思います」
■上司・先輩向け
「ご提案の件について、以下の方法が効果的かと考えます」
「スケジュールの見直しが必要かと存じます」
■他部署向け
「データの共有方法について、以下の形式が最適かと考えております」
「予算の再検討が必要かと思われます」
社内といえども、公式な文書や重要な提案の場合は、「と考えます」を基本とし、状況に応じて「と存じます」を使用するのがベストです。
社外メール向け例文
取引先や顧客とのメールでは、適切な敬語と丁寧な表現が不可欠です。
特にクライアントとの初回のやり取りや重要な提案の際は、より丁寧な表現を選択する必要があります。
■新規取引先向け
「ご提案書の内容について、以下の通りかと存じます」
「納期は来週末までが可能かと存じております」
■既存クライアント向け
「修正案について、このような形でいかがかと存じます」
「追加予算は〇〇円程度必要かと考えております」
■謝罪時の表現
「ご迷惑をおかけし、大変申し訳なく存じます」
「今後このようなことのないよう、改善策を検討させていただきたく存じます」
社外向けでは「と思います」は避け、基本的に「と存じます」を使用します。
ただし、長期取引のクライアントには状況に応じて「と考えております」も使用可能です。
上司・先輩向け例文
上司や先輩への報告・提案では、適度な敬意を示しながら、自分の意見をしっかりと伝えることが重要です。
過度に謙虚すぎる表現は避け、建設的な提案を心がけます。
■企画提案時
「本件について、次のような対応が効果的かと考えております」
「予算配分は以下の通りが最適かと存じます」
■報告・相談時
「進捗について、以下の課題があるかと考えます」
「スケジュールの見直しが必要かと存じております」
■改善提案時
「既存の方法について、このような改善案はいかがかと考えております」
「新しいアプローチを検討させていただきたく存じます」
部長以上の役職者には「と存じます」を基本とし、課長級には「と考えております」を使用するのが一般的です。
ただし、日常的なやり取りでは「と考えます」も適切です。
シーン別「と思います・考えます・存じます」の使い方
ビジネスシーンによって求められる丁寧さのレベルは異なります。
以下、具体的な場面ごとの適切な使い分けを解説します。
社内会議・打ち合わせでの使い分け
会議や打ち合わせでは、参加者の役職や会議の性質に応じた使い分けが必要です。
特に複数の部署が参加する会議では、より丁寧な表現を意識します。
■部内会議
「次の施策について説明したいと思います」
「コスト削減が必要だと考えています」
■役員会議
「第3四半期の見通しについてご説明させていただきたく存じます」
「新規事業の展開について、以下のように考えております」
会議の冒頭や結論部分では、より丁寧な表現を使用し、議論の途中ではやや砕けた表現も可能です。
クライアントとの商談での使い分け
商談では、提案内容の確実性や自信の程度によって表現を使い分けます。
特に初回商談や重要な契約交渉では、より慎重な表現選択が求められます。
■初回商談・提案時
「弊社のサービスについて、ご説明させていただきたく存じます」
「貴社のご要望に、このような形で対応可能かと存じます」
■価格交渉時
「コストについて、以下の範囲で調整可能かと考えております」
「追加対応は別途費用が発生するかと存じます」
■契約条件の確認時
「契約書の内容について、以下の修正をご提案させていただきたく存じます」
「納期については、このようなスケジュールを想定しております」
商談では基本的に「と思います」は使用を避け、「と存じます」「と考えております」を基本とします。
フォーマルな文書での使い分け
企画書や報告書など、正式な文書では一貫した表現の使用が重要です。
特に社外向け文書では、適切な敬意を示す表現を選択します。
■企画書・提案書
「本企画により、以下の効果が期待できるものと存じます」
「投資対効果について、下記の通り試算させていただいております」
■報告書
「調査結果から、以下の課題が明らかになったと考えております」
「改善に向けて、次の施策を実施したく存じます」
■稟議書
「本件の必要性について、下記の通りまとめさせていただきました」
「予算執行について、ご承認いただきたく存じます」
フォーマルな文書では、文末表現を統一し、「と存じます」「と考えております」を基本とします。
基本的な使い分けの3つのルール
形式的な使い分けだけでなく、本質的な違いを理解することで、より適切な表現選択が可能になります。
丁寧さのレベルによる使い分け
3つの表現には明確な丁寧さの段階があります。
「と思います」が最も基本的で、「と考えます」は知的な印象を与え、「と存じます」は最も丁寧な表現となります。
■丁寧さレベル別の特徴
【と思います】
・カジュアルな印象
・日常的なコミュニケーション向け
【と考えます】
・ビジネスライクな印象
・提案や報告での標準的表現
【と存じます】
・最も丁寧な印象
・公式な場面での使用に適切
基本は場面に応じて上記の使い分けですが、同一文書内では表現を統一することも重要です。
相手の立場による使い分け
相手の役職や関係性によって適切な表現は変化します。
社内外の関係性を正しく把握し、適切な敬意を示す表現を選びましょう。
■社内での使い分け
同僚・後輩:「と思います」
上司(課長級):「と考えます」
役員:「と存じます」
■社外での使い分け
既存取引先:「と考えております」
新規取引先:「と存じます」
公的機関:「と存じます」
長期的な取引関係がある場合でも、公式な文書や重要な提案時は「と存じます」を使用します。
文章の種類による使い分け
文書の性質や目的によって、適切な表現は異なります。
フォーマルな文書ほど丁寧な表現を選択します。
■基本方針
メール・チャット:目的に応じて使い分け
企画書・提案書:「と考えております」基本
契約関連文書:「と存じます」必須
■具体的な使い分け例
依頼文書:「ご検討いただきたく存じます」
謝罪文書:「申し訳なく存じます」
報告文書:「以下の通りかと存じます」
緊急性の高い連絡や簡易な報告では、過度に丁寧な表現を避け、明快さを優先します。
「と思います・考えます・存じます」の使い分けポイント
それぞれの表現には、使用すべき場面と避けるべき場面があります。
基本ルールを押さえることで、適切な使い分けが可能になります。
「と思います」使用の基本ルール
最も基本的な表現である「と思います」は、使用を誤ると不適切な印象を与える可能性があります。
■適切な使用場面
・社内の日常的な会話
・同僚間の軽微な報告
・個人的な意見表明時
■避けるべき場面
・重要な企画提案時
・クライアントとの商談
・正式な文書作成時
「と思います」は気軽さを表現できる反面、不確実性や準備不足の印象も与えかねません。
「と考えます」使用の基本ルール
「と考えます」は、ビジネスの標準的な表現として広く使用されます。
論理的で、かつ適度な丁寧さを示せる表現です。
■最適な使用場面
・企画書での提案内容
・部門間の正式な連絡
・社内プレゼンテーション
■使用時の注意点
・「と考えております」でより丁寧に
・重要度に応じて使い分け
・文末は「~たく考えております」も有効
「と考えます」は、「と思います」より公式で、「と存じます」より親しみやすい中間的な表現として活用できます。
「と存じます」使用の基本ルール
最も丁寧な表現である「と存じます」は、使用場面を適切に選ぶことが重要です。
使いすぎると堅苦しい印象を与える可能性があります。
■必須の使用場面
・役員への報告書
・新規取引先との商談
・謝罪文書作成時
・公的機関への提出書類
■表現のバリエーション
・「~させていただきたく存じます」
・「~かと存じております」
・「~と存じ上げます」(最高位の敬意)
「と存じます」は最も丁寧ですが、使用過多は逆効果です。
重要度の高い場面に限定して使用しましょう。
見落としがちな使い分けのコツ
表現の使い分けには、文脈や組み合わせの観点も重要です。
文末表現の組み合わせ方
敬語レベルに合わせた文末表現の組み合わせが、文章の一貫性を保ちます。
■基本パターン
と思います → 「検討します」「確認します」
と考えます → 「検討させていただきます」
と存じます → 「検討させていただきたく存じます」
■避けるべき組み合わせ
×「拝見させていただきたいと思います」
○「拝見させていただきたく存じます」
文末表現は前後の敬語レベルと統一します。
敬語レベルとの整合性
敬語のレベルと文末表現は一貫させる必要があります。
不適切な組み合わせは、文章全体の印象を損ねます。
■適切な組み合わせ例
通常:「確認したいと思います」
丁寧:「確認させていただきたく考えております」
最高:「確認させていただきたく存じます」
■表現の統一化
・同一文書内では敬語レベルを統一
・段落ごとの一貫性を保持
・文書の性質に応じたレベル選択
特に社外向け文書では、一貫した敬語レベルの維持が重要です。
NG例と改善ポイント
適切な表現の使い分けができていないケースを確認し、改善方法を理解しましょう。
■NG例と修正案
NG:「ご確認いただけたらと思います」
○:「ご確認いただけますと幸甚に存じます」
NG:「検討させていただきたいと思います」
○:「検討させていただきたく存じます」
NG:「承知いたしましたと存じます」
○:「承知いたしました」
特に謝罪や依頼の場面では、敬語と文末表現の不適切な組み合わせに注意が必要です。
状況別NG例と対処法
典型的な失敗例を状況別に確認し、適切な対応方法を学びます。
社内コミュニケーションでの失敗例
社内でも立場や状況に応じた使い分けが必要です。
■役員会議での失敗
NG:「次の戦略について説明したいと思います」
○:「次の戦略についてご説明させていただきたく存じます」
■部長への報告
NG:「結果は良好だと思います」
○:「結果は良好であると考えております」
重要な会議や上位者への報告では、より丁寧な表現を選択します。
取引先とのやり取りでの失敗例
取引先との信頼関係を損なわないよう、適切な敬意を示す表現が不可欠です。
■新規取引先への提案時
NG:「こちらの商品が良いと考えます」
○:「こちらの商品がご要望に適していると存じます」
■価格交渉時
NG:「値引きは難しいと思います」
○:「誠に恐縮ではございますが、現状の価格にてご検討いただきたく存じます」
■契約更新時
NG:「継続をお願いしたいと思います」
○:「お取引の継続をお願い申し上げたく存じます」
特に重要な商談や契約関連では、慎重な表現選択が必要です。
公式文書での失敗例
公式文書では表現の一貫性と適切な敬意レベルの維持が必須です。
■企画書での失敗
NG:「市場規模は拡大すると思います」
○:「市場規模は今後も拡大するものと考えております」
■稟議書での失敗
NG:「予算の承認をお願いしたいと考えます」
○:「予算のご承認をいただきたく存じます」
■報告書での失敗
NG:「以下の通りだと思います」
○:「以下の通りとなっております」
公式文書では、「と思います」は使用を避け、文書全体で一貫した丁寧さを保ちます。
まとめ:「と思います・考えます・存じます」使い分けの基本ポイント
ビジネスでの「と思います」「と考えます」「と存じます」の使い分けは、相手との関係性、文書の種類、状況の重要度によって決定します。
基本ルールとして
- 「と思います」は社内の日常的なコミュニケーション
- 「と考えます」は公式な社内文書や既存取引先向け
- 「と存じます」は新規取引先や重要な公式文書に使用
特に重要な3つのポイント
- 文書内での表現の一貫性を保つ
- 敬語レベルと文末表現を合わせる
- 重要度に応じて適切な表現を選択する
これらの使い分けを意識することで、ビジネスコミュニケーションの質が向上し、より円滑な人間関係の構築が可能になります。
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よくある質問(FAQ)
「と思います・考えます・存じます」の使い分けについて、実務でよく挙がる疑問とその回答をまとめました。
Q1:メールの件名で使うべき表現は?
A:件名では「と思います」などは使用せず、簡潔に用件のみを記載します。
例:「○月期決算資料の送付」
Q2:クライアントへの謝罪時の正しい表現は?
A:「申し訳なく存じます」を基本とし、「深くお詫び申し上げます」と組み合わせます。
Q3:「と考えております」と「と存じます」の使い分けは?
A:「と考えております」は社内や既存取引先向け、「と存じます」は新規取引先や公式文書向けです。
Q4:文中と文末で表現を変えても良いか?
A:同一文書内では統一が基本です。
特に公式文書では一貫性を保ちます。
Q5:プレゼン資料での適切な表現は?
A:口頭発表用は「と考えております」、提出用資料は「と存じます」が基本です。
Q6:英語メールの「I think」との使い分けは?
A:英語の「I think」は「と思います」より幅広く使用可能です。
日本語ほど厳密な使い分けは不要です。
Q7:部下からの提案時の表現は?
A:「と考えております」を基本とし、重要案件は「と存じます」を使用します。
Q8:行内メールでの使い分けのルールは?
A:同部署内は「と思います」、他部署は「と考えます」、役員宛は「と存じます」を基本とします。