「会社として年賀状を廃止したいけれど、社内にはどう説明すればよいのだろうか」
「経費削減や業務効率化を理由にしても、取引先に失礼にならない?」
「営業部門から反対された場合や、一部の取引先だけ継続する場合はどうすればよい?」
企業が年賀状を廃止する際には、通知文を作成するだけでなく、社内で方針を決め、関係部署と調整し、取引先に一貫した説明を行う必要があります。
結論からいえば、企業の年賀状廃止は、目的・対象範囲・開始時期・取引先への対応を明確にしたうえで、社内と社外で説明を使い分けることが重要です。
社内では、業務負担や費用、運用上の課題も含めて具体的に説明します。
一方、取引先には、廃止する方針とこれまでの感謝、今後の関係継続を簡潔に伝えるのが基本です。
この記事では、企業が年賀状を廃止する理由の整理から、社内稟議・全社通知・営業部門への説明・取引先への対外説明まで、そのまま使えるテンプレートと実務上の注意点を紹介します。
企業が年賀状を廃止する理由と判断基準
年賀状の廃止を検討する企業では、業務効率化、費用の見直し、ペーパーレス化、挨拶方法の変更など、さまざまな事情があります。
ただし、他社が廃止しているからという理由だけで決めるのではなく、自社にとってどのような効果や影響があるのかを整理しましょう。
業務効率化・年末業務の負担軽減
企業の年賀状作成には、送付先リストの確認、宛名作成、印刷、発送、受領後の管理などの業務が発生します。
取引先が多い企業では、年末の繁忙期にこうした作業が集中することもあります。
年賀状廃止を検討する際は、単に作業をなくすだけでなく、担当者の業務時間をどの程度減らせるか、代わりの連絡方法にどの程度の手間がかかるかも確認しましょう。
社内説明の例
「年末年始の業務負担軽減と業務運営の効率化を目的として、年賀状の作成・発送業務を見直します。」
郵送費・印刷費などのコスト見直し
年賀状の送付には、郵便料金、印刷費、デザイン費、宛名管理などの費用が発生します。
廃止を検討する際は、年間の発送枚数や関連費用を整理すると、社内で判断しやすくなります。
ただし、年賀状を廃止してメール配信サービスなどを導入する場合は、その費用も考慮する必要があります。
社内説明の例
「年賀状の作成・発送に伴う費用を見直し、年末業務の効率化と合わせて運用方法を再検討します。」
ペーパーレス化・デジタル化の推進
紙の文書や郵送物を見直し、デジタル化を進めている企業では、年賀状も検討対象になります。
ただし、紙の年賀状を終了することと、環境負荷が必ず減ることは同じではありません。
環境面を理由にする場合は、自社の実際の取り組みや方針と一致しているか確認しましょう。
社内説明の例
「社内のペーパーレス化推進方針に基づき、年賀状を含む郵送物の運用を見直します。」
取引先との挨拶方法の見直し
日常的な連絡がメールやオンライン会議中心になっている企業では、新年の挨拶方法を見直すことも考えられます。
ただし、年賀状を重要な交流手段としている取引先もあります。
そのため、廃止する場合でも、必要に応じて個別の年始挨拶を続けるなど、関係性に合った方法を検討しましょう。
社内説明の例
「取引先とのコミュニケーション方法の変化を踏まえ、年始のご挨拶方法を見直します。」
より多くの理由や自然な言い換え表現は、年賀状じまいの理由一覧|ビジネス向けの理由と文例で紹介しています。
年賀状廃止を決める前に社内で確認したい5つの項目
企業の年賀状廃止は、総務部門だけで進められるとは限りません。
取引先との関係を担当する営業部門や、顧客対応部門などとも調整し、廃止の範囲と運用方法を明確にしましょう。
1. 廃止する対象と範囲
まず、年賀状を終了する対象を決めます。
- すべての取引先
- 顧客・会員
- 協力会社・外注先
- 役員・従業員
- 特定の部署や事業所
すべての送付先を一律に廃止するのか、一部は例外として継続するのかを整理します。
2. 年賀状を終了する開始時期
次に、いつから送付を終了するのかを決めましょう。
例えば、次回の年始から送付しないのか、今回の年賀状を最後にするのかで、通知文が変わります。
社内通知や取引先への案内には、必要に応じて具体的な年を明記します。
3. 重要取引先への例外対応
営業上の関係を重視し、一部の取引先には年賀状を継続したいという意見が出る場合もあります。
例外を設けるのであれば、対象の決め方や承認者を明確にしましょう。
担当者の独自判断に任せると、会社としての方針が不明確になる可能性があります。
4. 取引先への通知方法と担当者
年賀状の廃止を知らせる方法には、メール、案内状、公式サイト、担当者からの個別連絡などがあります。
通知を行う部署、送信対象、送信時期を決めておきましょう。
特に重要な取引先には、営業担当者による個別の説明が適している場合もあります。
5. 年賀状廃止後の運用方法
年賀状を廃止した後も、取引先から年賀状が届く可能性があります。
受領した年賀状をどう管理するか、返信は必要か、年始の挨拶を別の方法で行うかなど、運用方法を共有しておくことが大切です。
社内稟議・決裁に使える年賀状廃止の提案文テンプレート
企業として年賀状廃止を進める際、社内稟議や決裁資料が必要になる場合があります。
決裁者には、廃止の目的だけでなく、対象範囲、期待される効果、取引先への影響、実施方法も説明しましょう。
稟議書テンプレート|年賀状送付廃止の提案
件名:年賀状送付業務の廃止について
1.提案の目的
年末年始の業務効率化および年賀状の作成・発送に伴う費用と業務負担の見直しを目的として、会社名義での年賀状送付の廃止を提案いたします。
2.現状と課題
現在、当社では毎年約〇〇通の年賀状を送付しており、宛名リストの確認、印刷手配、発送などの業務が発生しています。
これらの作業が年末の業務負担となっているため、運用方法の見直しが必要と考えます。
3.提案内容
〇〇年の年始より、原則として会社名義での年賀状送付を終了します。
重要取引先などで例外対応が必要な場合は、担当部門から申請を受け、所定の承認手続きにより判断します。
4.期待される効果
年賀状の印刷・発送費用の見直し、宛名管理業務の削減、年末業務の効率化が期待されます。
具体的な削減効果は、直近の発送実績と費用をもとに算定します。
5.取引先への対応
対象となる取引先には、廃止方針を事前に通知します。
通知文は総務部門が基本案を作成し、営業部門と確認のうえ送付します。
6.承認依頼事項
上記の年賀状送付廃止方針および実施計画について、ご承認をお願いいたします。
決裁者向けの短い説明文
「年賀状の送付業務を見直すことで、年末の業務負担と関連費用の削減を図ります。取引先への影響に配慮し、重要な取引先には必要に応じて個別対応を実施します。」
短い説明であっても、年賀状廃止の目的と取引先への配慮をセットで伝えましょう。
なお、費用削減の金額などは推測で記載せず、実際の実績から算定してください。
社内向け|年賀状廃止の説明文と全社通知テンプレート
年賀状廃止が正式に決まったら、関係する従業員へ方針を共有します。
社内向けの説明では、対外的な通知よりも運用面を具体的に伝えることが重要です。
総務から従業員へ送る全社通知
件名:会社名義での年賀状送付終了について
各位
お疲れさまです。総務部です。
このたび当社では、年末年始の業務効率化およびご挨拶方法の見直しに伴い、〇〇年の年始より会社名義での年賀状送付を終了することとなりました。
対象は、原則として当社から取引先・協力会社等へ送付している年賀状です。
取引先へのご案内については、総務部と各担当部署が連携して進めます。
重要取引先など、個別の対応が必要な場合は、〇月〇日までに所属部門の責任者を通じてご相談ください。
なお、年賀状の送付終了は、取引先との関係を変更するものではありません。
引き続き、適切な方法でご挨拶・ご連絡をお願いいたします。
ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。
総務部
営業部門へ送る対応依頼メール
件名:年賀状送付終了に伴う取引先対応の確認依頼
営業部各位
お疲れさまです。
会社名義での年賀状送付終了に伴い、取引先への案内方法について確認をお願いいたします。
今回の方針は、年末年始の業務運営と挨拶方法の見直しを目的としたものです。
各担当者は、次の内容をご確認ください。
- 取引先への通知対象
- 個別に説明が必要な取引先
- 年賀状の送付継続を検討すべき特別な事情
- 通知文の送信方法
確認結果は、〇月〇日までに総務部へご連絡ください。
取引先への案内は、社内で統一した基本文面を使用します。
ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
部署責任者からメンバーへ説明する場合
「会社方針として、次回の年始から年賀状の送付を終了することになりました。業務効率化と挨拶方法の見直しが主な目的です。取引先との関係はこれまでどおり大切にしていく方針ですので、必要な年始の挨拶はメールや個別の連絡などで対応してください。」
部署内の説明では、会社の方針と現場で必要な対応を分けて伝えましょう。
取引先・顧客への対外説明テンプレート
年賀状の廃止が決まったら、社外には簡潔で統一した説明を行いましょう。
社内向けには費用や業務負担を詳しく説明していても、取引先への通知で同じ詳細をすべて伝える必要はありません。
ただし、実際と異なる理由に置き換えることは避けましょう。
取引先へ会社方針を説明する場合
件名:年賀状によるご挨拶終了のお知らせ
株式会社〇〇
〇〇部 〇〇様
平素より大変お世話になっております。
このたび弊社では、業務運営およびご挨拶方法の見直しに伴い、〇〇年の年始より年賀状の送付を終了させていただくこととなりました。
これまでの温かいお心遣いに心より感謝申し上げます。
年賀状によるご挨拶は終了いたしますが、今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
株式会社△△
〇〇部 〇〇
重要取引先へ個別に説明する場合
平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
このたび弊社では、全社的な業務運営の見直しに伴い、年賀状による新年のご挨拶を終了させていただくこととなりました。
長年にわたり頂戴しておりますご厚情に、改めて深く感謝申し上げます。
年賀状でのご挨拶は終了いたしますが、今後も貴社とのお付き合いを大切にしてまいりたいと存じます。
引き続き変わらぬご厚誼を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
顧客・ユーザー向けに説明する場合
日頃より弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
弊社では、ご案内方法の見直しに伴い、今後は年賀状による新年のご挨拶を終了させていただくこととなりました。
これまでのご愛顧に心より感謝申し上げます。
今後もサービスの向上に努めてまいりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
正式な案内状の書式や件名別の完成文例は、年賀状廃止の案内文テンプレ|取引先向け通知文とメール例をご覧ください。
社内と社外で年賀状廃止の説明を使い分けるポイント
同じ年賀状廃止でも、社内と社外では説明の目的が異なります。
社内では意思決定や業務運用のために具体的な情報が必要です。一方、社外では方針変更と今後の関係継続を分かりやすく伝えることが中心になります。
社内には費用・業務・運用上の影響まで説明する
社内向けには、次のような内容を整理しましょう。
- 廃止に至った背景
- 現在の年賀状発送枚数と費用
- 業務負担の状況
- 廃止する対象範囲
- 例外対応の判断基準
- 取引先への通知方法
- 廃止後の運用体制
特に、営業部門から取引先への影響を心配する意見が出た場合は、一方的に方針を伝えるのではなく、必要な対応を確認することが重要です。
社外には方針・感謝・関係継続を中心に説明する
社外向けでは、会社の事情を長々と説明する必要はありません。
「弊社では業務運営の見直しに伴い、年賀状によるご挨拶を終了いたします。これまでのご厚情に感謝申し上げます。今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。」
このように、方針と感謝を簡潔に伝えると分かりやすくなります。
社内外で説明する事実は一致させる
社内と社外で説明の詳しさを変えることはできますが、実際の理由や方針を矛盾させないことが大切です。
例えば、社内では費用削減が目的だと説明しているのに、実施していない環境施策を社外向けの理由にすることは避けましょう。
社外向けには詳細を省きつつ、実態に合った表現を選んでください。
年賀状廃止後の社内運用と取引先対応
年賀状じまいは、通知文を送れば完了するわけではありません。
廃止後も社内で対応が統一されるよう、送付先リストや年始の挨拶方法を整理しておきましょう。
送付先リスト・顧客情報を更新する
年賀状の発送に使っていた名簿は、廃止後の取り扱いを確認しましょう。
今後も業務上必要な連絡先と、年賀状発送のためだけに管理していた情報を区別します。
個人情報の保管や削除は、自社の規程に沿って行いましょう。
年賀状が届いた場合の対応を統一する
廃止を通知していても、取引先から年賀状が届く場合があります。
その際、年賀状を返す必要があるか、メールでお礼を伝えるかなど、基本的な対応方針を決めておきましょう。
重要な取引先については、営業担当者が個別に対応する方法も考えられます。
年始の挨拶方法を見直す
年賀状を廃止しても、必要な取引先への新年の挨拶を続けることはできます。
例えば、次の方法があります。
- 個別の年始挨拶メール
- 年始の電話やオンラインでの挨拶
- 対面での新年の挨拶
- 企業サイトでの年頭メッセージ
ただし、すべての取引先に代替の挨拶を送る必要があるとは限りません。
関係性や業務上の必要性に応じて判断しましょう。
年賀状廃止の社内説明でよくある質問
Q. 営業部門から年賀状廃止に反対されたら?
まず、営業部門が懸念している取引先や具体的な事情を確認しましょう。
年賀状を重要な関係維持の手段としている取引先がある場合は、個別対応の必要性を検討します。
全社方針と営業上の事情を整理し、例外対応が必要なら判断基準と承認方法を明確にしましょう。
Q. コスト削減を正式な廃止理由にしてもよいですか?
実際の理由がコスト削減であれば、社内で説明して構いません。
対外的にも、費用や業務運営の見直しを説明すること自体が不適切というわけではありません。
ただし、取引先への通知では、相手への感謝と今後の関係継続を添えることが大切です。
Q. 年賀状を廃止しても、重要な取引先だけ継続できますか?
会社の方針として例外を認めるのであれば可能です。
ただし、担当者ごとの独自判断にせず、例外の基準や承認者を決めておきましょう。
Q. 社内稟議には削減予定額を書く必要がありますか?
会社の稟議規程によります。
削減効果を判断材料とする場合は、直近の発送枚数、印刷費、郵送費、作業時間などをもとに算定するとよいでしょう。
根拠のない削減額を記載することは避けてください。
Q. 企業の年賀状廃止はいつ決めるべきですか?
一律の決定期限はありません。
ただし、年賀状の印刷発注や取引先の準備が始まる前に方針が決まると、実務上の混乱を防ぎやすくなります。
秋頃までに検討を進め、10〜11月に通知する方法もあります。
詳しくは、年賀状じまいの時期|企業向けの通知タイミングをご覧ください。
Q. 年賀状廃止の通知を受け取った取引先から返信が来たら?
返信へのお礼や追加の確認が必要な場合は、通常の業務メールとして対応しましょう。
相手から特に質問がなければ、形式的なやり取りを何度も重ねる必要はありません。
取引先から届いた年賀状じまい通知への返信方法は、年賀状じまいを受け取ったら?ビジネス返信マナーと文例で解説しています。
まとめ|企業の年賀状廃止は社内決定と対外説明を統一する
企業が年賀状を廃止するときは、理由を決めるだけでなく、実施方法や取引先への対応を整理することが重要です。
特に押さえておきたいのは、次の5点です。
- 廃止目的を明確にする:業務効率化や費用の見直しなど、実際の理由を整理する
- 対象と開始時期を決める:全社廃止か一部継続かを明確にする
- 社内で方針を統一する:営業・総務など関係部署と調整する
- 取引先には丁寧に説明する:感謝と関係継続を伝える
- 廃止後の運用を決める:年賀状の受領や代替の挨拶方法を整理する
年賀状の廃止は、取引先との関係を終了することではありません。
社内では必要な情報を共有し、社外には分かりやすい言葉で方針を伝えることで、年賀状による挨拶を円滑に終了しやすくなります。
今回紹介した稟議書・社内通知・対外説明のテンプレートを、自社の規程や実際の方針に合わせて活用してください。
